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半年前にあ〜ちゃんと別れた。
簡易的に言えばあ〜ちゃんに対する気持ちが変わったから別れた。

ゆかちゃんが旅に出てから、あたしたちは付き合うことになった。
最初の1年は順調だったと思う。
それなりに仲良くやっていたと思う。
あ〜ちゃんがあたしを好きだって態度でわかったし、甘えてきてくれた。
あたしもそれは嬉しかった。
愛されてるんだなって思った。
あ〜ちゃんを求めても、必ずそれに応えてくれた。

でもある時からあ〜ちゃんを腕の中で抱いていると、妙な罪悪感に襲われるようになった。
あたしはずっとゆかちゃんとの体だけの関係を、あ〜ちゃんに隠していた。
実はこの事がずっと引っかかっていたんだ。

ゆかちゃんとの関係をあ〜ちゃんに伝えるべきか、伝えずべきか。
でもこの関係をあ〜ちゃんが知っても複雑な気分になるだけ。
そんなのわかってるけど、このまま隠し続けたら、あ〜ちゃんを抱く度妙な罪悪感が甦ってくる。
あ〜ちゃんを抱く度に、悪い事をしているような感覚に陥る。

あたしは苦しかった。
苦しさに耐え切れず、ゆかちゃんとの関係を告白した。
聞かされるあ〜ちゃんの気持ちなんてこれっぽちも考えてなかった。
本当は自分が楽になりたいだけ。
自分だけ苦しみから逃れたかっただけ。

告白を聞いたあ〜ちゃんはさすがに驚きを隠せない表情をした。
「それは・・・あ〜ちゃんに告白する前のことでしょ?」
「・・・うん」

「じゃ、あ〜ちゃんがとやかく言う権利なんて無いよ・・・」
「でも、、、軽蔑したんじゃない?」


あ〜ちゃんは首を横に振ってあたしを優しく包み込んだ。
「・・・軽蔑なんてしないけぇ」
あたしは優しさに満ちたあ〜ちゃんの腕の中で眠りについた。
あ〜ちゃんが許してくれた、と思った。

しかしあたしが眠りから覚めると、あ〜ちゃんはベッドの隅で小さくなって肩を震わせて泣いていた。
その姿を見た瞬間、自分はあ〜ちゃんを幸せにする事なんで出来ないって気付かされた。
逆にあ〜ちゃんを深く深く傷つけてしまった。

あ〜ちゃんは傷ついてるくせに、あたしに愛をいっぱいくれる。
その傷を見せないように、健気にあたしを好きって言ってくれる。
その姿は痛々しいくも感じた。

あたしはそんなあ〜ちゃんといる事が辛くなった。
そんなあ〜ちゃんにした張本人は自分なのに。
自分で傷つけたくせに、自分ではもうあ〜ちゃんの傷を塞ぐ事が出来ないと思ったから。
このままあたしと一緒にいても、あ〜ちゃんの傷は広がるばかり。えぐれるだけ。
これ以上傷を広げないように、あたしはあ〜ちゃんから距離を置き始めた。
半年間誤魔化し続けたけど、やっぱり修復は出来なかった。
もう無理だった。限界だった。

ごめんね、あ〜ちゃん。
あ〜ちゃんの愛情にこれ以上応えれない。
ヘタレなあたしはその慈愛的な愛情を重いと感じちゃったんだ。
幸せにしないといけないって気持ちが、いつしかプレッシャーに変わっちゃったんだ。
守らなきゃいけないって気持ちが、いつしかプレッシャーに変わっちゃったんだ。
弱いあたしはそのプレッシャーに押し潰されちゃったんだ。
しかも、別れを切り出すものあ〜ちゃんから言わせちゃって・・・。

こんな最低な奴すぐ忘れて、新しい恋をして。


あ〜ちゃんと別れたからは自分からはほとんど連絡は取らなかった。
「友達に戻ろう」って言われたけど、今は戻れる自信もなかったから。

たまに大学で顔を見かけるけど、声は掛けなかった。
あ〜ちゃんは、あたしを見かけると話掛けてくれたけど、素っ気無い態度を取ってしまっていた。
中途半端に優しくすると、勘違いさせてしまうんじゃないかって思ったから。

久々のあ〜ちゃんからのメールは、ゆかちゃんの帰国を知らせる内容だった。
ゆかちゃんにはあたしたちが別れた事を伝えてないみたい。
あたしはゆかちゃんを心配させないように、あ〜ちゃんに”付き合ってるフリ”をお願いした。

空港で2年ぶりにあったゆかちゃんはキラキラしてた。
思わず目が眩むほどに輝いていた。

ゆかちゃんを見たらなんだか胸が苦しくなった。
この苦しみは、あ〜ちゃんを好きになった苦しみに似ている。

どうしちゃったんだよ!?しっかりしろよ自分!!
あ〜ちゃんをあんだけ傷つけておいて、今度はゆかちゃん!?
いくらなんでも都合よすぎだろ!!
自分で気が多い自分を怒る。

ゆかちゃんが帰国して10日くらい経った頃。
あ〜ちゃんからのメールが来た。

『のっち、ごめん。ゆかちゃんに気付かれたから、あたしたちの事話しました。
だからもう”フリ”しなくていいよ。
それと、ゆかちゃんのせいで別れたんじゃないって、ちゃんと言ったから平気だよ』

ゆかちゃんに知られた・・・。
まあ、いつか言わなきゃいけない事だけど、またあ〜ちゃんに言わせちゃった・・・。
どこまでヘタレなんだ・・・。

あたしはゆかちゃんに再会してから、瞼を閉じると彼女の姿を描くようになった。

ねぇ、ゆかちゃん・・・こんな最低なあたしだけど、好きになっていいのかな?







最終更新:2009年04月10日 00:37