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〔N〕


あ〜ちゃんが諭すように優しく話す。
ゆかちゃんにまわりくどいことを言っても無駄なのはわかっていた。
情けないことに、私は何も言えないで、ただ泣いていた。
あ〜ちゃんとゆかちゃんが言い合ってるのを見て、
腑甲斐なくて
また泣いた。
口をひらいても
『ごめんなさい』
と、謝ることしかできなかった。
そんな私にあ〜ちゃんは
怒りをぶつけてきた。
ちゃんとしろ!!
のっちがちゃんと言え!!
そう言われてるみたいだった。
それにその通りだった。
目の前で泣きじゃくるゆかちゃん。
ついこの前まで
大好きだった人。
目の前で私に掴み掛かってくるゆかちゃん。
ついこの前まで
愛していた人。


ゆかちゃん・・・。
そんなに??
そんなに泣き喚くほど
のっちのことが好きなの??
そんなに
乱れるほどに
のっちのこと想ってくれてるの??



辛い恋愛だった。
体も心もぼろぼろだ。
終わりにできるのは
自分しかいない。



『もう、終わりにしよう・・・。』


〔K〕




私は狂ったように泣いた。
のっちがいなくなるのなんていやだった。
なりふり構わず泣いた。
のっちに触りたかった。
あの優しくてあったかい感触を確かめたかった。
何度も叫んだ。

『ゆか、のっちがいなきゃ無理なんだよっ!!』
ねぇ?伝わらないの??

『のっちぃ、いなくなったらやだよぉっ!!』
わかるでしょ??

『のっちだって、ゆかだけって言ってくれたじゃん!!』
嘘だったの??



私とのっちの間に
あ〜ちゃんが立ちはだかる。
必死で私を落ち着けようとしてるけど、無理なんよ。
のっちが戻ってこないかぎり、無理なんよ。
このままのっちが戻ってこないなら、ゆかはずっと泣いたままなんよ。
あ〜ちゃん、わかるでしょ??
ゆか、のっちがいないと駄目なんよ。


『あ〜ちゃんだって!!』
突然あ〜ちゃんが口をひらいた。
『あ〜ちゃんだって、のっちがいないと無理だもん!!ずっとずっと我慢してたんだからっ!!傷つけるくらいなら、あ〜ちゃんにちょうだいよっ!!』
泣きながらあ〜ちゃんの本音がこぼれた。
あ〜ちゃんの後ろで
のっちの顔が歪む。
あ〜ちゃんは自分の言った言葉に驚いたらしく
片手で口をおさえた。
のっちの方を向き、
『や、違う!!ごめん・・そうじゃないんよ?ごめん、のっち・・困らせたいわけじゃないの・・・』
あ〜ちゃんはのっちの手をとって優しく言った。
だけど声はあわててた。
のっちは誰が見てもわかるくらい困った顔をしてた。私は二人の関係が
親密だったことに
一瞬にして気付いた。
涙がとまらない。
もう止め方もわからない。



〔A〕




しまったと思った時には
もう遅かった。
完全に“好き”という気持ちがバレてしまった。
のっちが困った顔をしてることにもすぐに気付いた。
私たちはお互い
口に出さない関係が
居心地がよかっただけだ。
その逃げ場がある関係が
心地よかっただけだ。
その均衡を私は
こんなどうしようもない状況で
壊してしまった。
泣いてたのっちは
いつのまにか涙はとまってた。
多分私の言葉に驚いて
一瞬とまったんだ。



『・・・ご、ごめ、ん。あ〜ちゃん・・ごめん・・・』
多くは語らないのっち。
でも私はすぐにわかった。

私は気持ちを伝えた瞬間に
ふられたんだ。
ただそれだけ。


わかってた。
わかってたから
さほど辛くはない。
辛くなんかない
そう思い込むことで
取り乱さなくてすんだ。
だけど、
『ごめん・・・ごめんね・・あ〜ちゃん、、本当ごめ・・』何度も何度も謝るのっち。
いつのまにか
また流れだした涙。
なんで??
なんでそんなに謝るの??
そんなに謝らないでよ。

『ごめん・・・ごめんあ〜ちゃん、、のっち・・・きっと馬鹿だ・・・』
なんで??
なんでそんなに謝るの??
なんで自分を責めるの??
馬鹿じゃないよ??
のっち??



『・・・・・ごめん、ね・・』
何回も謝ったのっち。
どれも意味がわからなかったけど、
意味のある行動だったんだね。
私の前で泣きながら謝り続けたのっちは、
最後にそうぽつりと呟いて、私の瞳の中から消えた。

のっちの優しい匂いが
のっちの優しいぬくもりが
私の体の横をすりぬけて、一瞬浮かんで
一瞬で消えた。




あ、出会わなければよかった。
その手をもっと
私がギュッと繋いでたら
何か違ったかな?





泣き続けるゆかちゃんを
抱き締めたのは
間違いなくのっちで。
その形は
紛れもなく
愛の形。





最終更新:2009年04月10日 00:39