〔A〕
のっちとの愛しい空間が
終わった。
お互い口には出さなかったけど、惹かれ合っていた日々。
お互い口には出さなかったけど、愛し合っていた日々。
だけど
そんなことは
もう過去のこと。
ここまできて、
土壇場で、
のっちはゆかちゃんを選んだ。
のっちが
“さよなら”
を伝える。
もちろん私に。
聞きたくない。
当たり前だけど聞きたくないよ。
だけど、受けとめなくちゃいけない現実。
私の目から見ても、
のっちが抱き締めたゆかちゃんは、
完全にのっちしか見てない。のっちがいないと本当に壊れてしまいそうだった。
ゆかちゃんを抱き締めたのっちは、
完璧な優しさでゆかちゃんのすべてを包み込んでた。
もう、本当に、
完璧な形で。
最初から、
私の入り込む隙間
なんかないことを
いやってほどに知らされる。
だけど私は多分、
この切ない程の恋心を
忘れることはないだろう。
きっと私は多分、
のっちのことを
忘れないだろう。
この先も、
この先何年も、
忘れることはないだろう。
だけど、
この先も、
この先何年も、
変わらないのは、
私はのっちの
“恋人”
にはなれないこと。
のっちの、
“恋した人”
にはなれないこと。
私はずっと、
のっちに恋してる。
だけどのっちは
この先も、
私には、
恋はしない。
そう。
この先もずっとそう。
私は
のっちの
—非恋人—
〔N〕
病んでるのは自分だった。
ゆかちゃんの苦しいほどの愛情にどっぷり浸かって、
病み付きになってたのは
自分だった。
ゆかちゃんからの
痛い程の愛情を
これから先受けられない
って考えた時
それが無理だった。
私は毎回のように繰り返されるそれに、
洗脳されていた。
気付かないうちに。
土壇場で、
ゆかちゃんの涙を見たら
思い出すように、
体と脳みそに
植え付けられていたんだ。
私にこんなに夢中になってくれるゆかちゃんを見て、
優越感に浸ってたのかもしれない。
もしかしたら
ずっと気付いていたのかもしれない。
私が恋した人は
はじめから
ゆかちゃんただ一人で
私は、多分きっと
あ〜ちゃんには
恋しないんだ。
あ〜ちゃんには
下心は必要ないから。
だけどきっと忘れない。
あ〜ちゃんのことは忘れられない。
辛かった日々。
口には出さなかったけど、
私は、
確実に、
あ〜ちゃんを
愛していた。
あ〜ちゃんには真心だけでよかった。
どこかで踏み込めない自分がいたのは、
やっぱり恋に発展しないからだ。
ゆかちゃんに想うのとは違う。
わかってる。
わかってた。
恋人にしたい人は
ゆかちゃんただ一人。
あ〜ちゃんは
恋人にはしたくない人。
出来ない人。
こんな私のそばにいたら
駄目な人。
多分きっと
他にどっか誰かの隣の方が
あなたは
輝けるんだろうな。
だから
あ〜ちゃんは駄目。
あ〜ちゃんは
のっちの恋人になんかできん。
多分きっと一生
私はあなたの
—非恋人—
〔K〕
あ〜ちゃんとのっちが想い合ってること
気付いてたんよ。
あ〜ちゃんとのっちが会ってること
気付いてたんよ。
だって昔から
あ〜ちゃんには優しいもんね?
だって部屋の片付けなんかしないくせに
綺麗になってたもんね?
のっちの服から
あ〜ちゃん家の匂いがしたんよ。
洗剤かえたんだね?
あ〜ちゃんは優しいから
何でもしてくれたでしょ?
だから洗濯だってしてくれたんでしょ?
いいんよ。
そんなんいいよ。
ゆかがそうさせちゃったんだよね?
でもゆかいいの。
のっちがゆかから離れられなくなってくれれば
それだけでよかったんよ。
いつの間にか
のっちは私の苦しいほどの愛情に溺れてたでしょ?
のっちが
恋した恋人は
ゆかであればいいんよ。
だって、
のっちは臆病だから
本当は、
大好きで大好きで
しょうがない気持ち
わからないふりしてるんじゃない?
あ〜ちゃんのこと、
大好きで大好きで
どうしようもない気持ち。
ゆか、気付いてたよ?
のっちは自分に自信がなくて
あ〜ちゃんを汚したくなくて
自分の気持ちに
気付いてないだけなんよ。
自分の気持ち
封印して忘れてるんよ。
だからゆかはね?
のっちのそんな優しいとこが好きなんよ?
のっちのそんな切ないとこが好きなんよ?
のっちの心の中に
入りたくなったんよ。
のっちにゆかを
刻み付けたかったんよ。
あ〜ちゃんへの気持ち
忘れたままでいて欲しかったんよ。
のっちはゆかが
恋した恋人。
多分、これからも
ずっと恋人。
二人はお互い
多分、これからも
ずっと—非恋人—
のっちはゆかの
コイノヒト。
二人はずっと
ヒコイノヒト。
————クスッ——
全部、
ゆかの、
予定通り。
END
最終更新:2009年04月10日 00:43