【K】
久々に大学の時の友達と遊んでたら終電を逃してしまった。
やばいな・・・ここから実家までは歩いて帰れる距離じゃないし。
タクシー代もバカにならないし。
あっ!!そうだ!!
あたしはいいアイディアが浮かんだ。
のっちの家に泊まらせてもらおう。
ここから20分くらい歩いたら、のっちのアパートに着く。
それに、あ〜ちゃんと別れた原因がイマイチよくわからないからそれも聞こうと思った。
あたしは速攻のっちに電話する。
珍しくすぐに出た。
「あっ、もしもし?のっち?ゆかだけど、終電逃しちゃって帰れなくなったの。
急で悪いけど、泊まらせてもらっていい?」
【N】
ゆかちゃんから泊まらせてほしいって電話がきた。
ドキっとした。
今のあたしはまだゆかちゃんに対しての気持ちが定まってない。
そんな中で二人っきりで会ってしまっていいんだろうか・・・。
いや、今二人で会えば、自分の気持ちがハッキリわかるかもしれない。
「のっちー?聞いてる?返事してよ〜」
「あっ、ごめんごめん。いいよ来なよ」
「ありがとう!!じゃ、20分くらいで着くから!!」
そう言ってゆかちゃんは電話を切った。
20分か・・・。
あたしは目につく散らかった洋服、台所の洗ってない食器を大至急に片付けた。
程なくするとゆかちゃんがコンビニの袋片手に現れた。
「ごめんね、のっち。急にお邪魔して。これ、お詫びの印のお菓子とアイス」
「別に気にせんでもいいのに。それにアイスはかっしーが食べたかっただけじゃろ?」
「あっバレたw」
今のあたしたちの間は、あの頃のギスギスした雰囲気は感じられなかった。
それはたぶん、ゆかちゃんが大人になったからだろう。
外見はそんなに変わってないけど、明らかに内面は変わったと思う。
帰国した後のゆかちゃんには余裕を感じる。
あの頃から全然成長していない自分から見ると、憧れる。
その憧れがいつのまにか好きって気持ちに変わっていた。
【K】
のっちと二人でいても、気まずくはならなかった。
よかった。胸を撫で下ろした。
もう、あの頃みたいな関係には戻りたくないもん。
のっちはなんであ〜ちゃんと別れたんだろ?
二人ともあんなに好き合ってたはずなのに・・・。
あたしは気になって気になってしょうがなかった。
だから、訊いてしまった。
「ねぇ、のっち・・・」
「ん?」
「なんで、別れたん?」
「・・・あっ、このチョコもらっていい?」
のっちはハノ字眉になって笑って誤魔化そうとしている。
「誤魔化さんでよ・・・」
のっちは黙ったままチョコが包まった紙を不器用に剥がしていく。
「ごめん、かっしー・・・」
チョコを口に入れてあたしに謝ってきた。
「なにが?」
「うちらの関係・・・あ〜ちゃんに喋っちゃった・・・」
「え・・・なんで喋っちゃったん?」
「耐えられんかったんよ・・・」
そう言ったのっちは、ポロポロと涙を零した。
滅多に泣かないのっちが泣いている。
それを見てあたしは、なんて事をしてしまったんだろうと心の底から思った。
今まで自分の事しか考えてなかった。
あたしに振り回されてたのっちの事を全然考えてなかった。
のっちは一人でずっと傷ついていたんだ。
誰にも悟られないように、ずっとその傷を隠していたんだ。
やっぱり、二人を切り裂いた原因はあたしだった・・・。
「ごめん・・・ごめんね。のっち」
あたしは精一杯の謝罪の気持ちを込めてのっちを抱きしめた。
「なんで、かっしーが謝るん?」
「だって・・・のっちを苦しめたのはゆかでしょ?それが、引っかかってあ〜ちゃんに対して後ろめたく感じたんでしょ?」
「わからん・・・。けど、別れた原因はかっしーじゃないけ」
のっち、あんたどこまで優しいのよ?
「じゃあ、どうして?」
「のっちが弱かっただけなんよ。あ〜ちゃんも、かっしーも悪くないけぇ・・・」
【N】
ゆかちゃんに抱きしめられてる。
人に抱きしめられたのは久しぶりだったから、なんだか居心地が良かった。
いつの間にか、ゆかちゃんも泣いている。
ゆかちゃんが泣く必要なんてないのに・・・。
悪いのは全部あたしなのに・・・。
「ねぇ、のっち」
耳元で囁かれるゆかちゃんの声は優しかった。
「ん?」
「ゆかに何か出来る事ある?」
あたしの事を好きになってほしい。
本当はこう思ったけど、こんな状況で言えるはずが無い。
【K】
「もう少し、もう少しだけ・・・このままでいてくれる?」
「・・・わかった」
あたしはそう言われて、少し力を込めてのっちを抱きしめ続けた。
この傷ついたのっちをどうしよう・・・。
ごめんね、あ〜ちゃん。
のっちをこんなにも傷つけてしまって。
あたしが癒せるものなら、責任を持って癒すよ。
でもそれは二人が望むこと?
やっぱり、のっちはあ〜ちゃんが癒してあげるべきじゃないのかな?
あたしは、どうしたらいいの?
ねぇ、あ〜ちゃん・・・のっちを傷つけたあたしを恨んだ?
最終更新:2009年04月10日 00:49