電話越しに聞く彼の声は、なんだか久しぶりに聞くような気がした。
「もう終わりにしよう」
「へ・・・?いきなりどしたん?」
「いきなり、じゃないと思うけど?」
「・・・・」
「他に好きな奴がいるんだろ?」
「・・・・そっ、か、、、知ってたんだ、、」
「俺、ズルイから。プライド高いし、フラれんの嫌いなんだよね。だから、先に言わせてもらった」
「ごめん、なさい」
優しいくせに、そうやって計算づくのふり。
そんなところもそっくりだね。
「なぁ、最後に聞かせてよ。好きな奴ってどんな奴?」
「どんな、かぁ・・・・いつも冷静で、余裕だよって顔して、、完璧に何でもこなせそうなのに、本当は自分のボロを見せないように必死で。。でも強がりで、素直じゃなくて、、」
だけど、そんなとこも全部ひっくるめて、
「守ってあげたいって思う、、、のっちの、大切な人」
「・・・ははっ。なんだそれ、ベタ惚れじゃん。はなっから勝ち目なかったんだな」
ああ、そうか。
気づかれてたんだね。
最初から。
「じゃあ、彩乃、元気で」
「ん、、ありが、と」
ごめんなさい。
あなたの黒目がちな瞳と、大きな手の平が大好きでした。
だけど、わたしが吸い込まれそうになるのは、あの子のぱっつん前髪が少しかかったあの黒目がちの瞳。
指を絡ませてみたいと思うのは、あの子の見かけによらず大きな手の細くて長い指。
きっと、わたしがあなたの隣を選んだのは、あの子に似ているあなたに惹かれたから。
わたしが愛したのは、あなたの中にある彼女に似た要素だけ。
ずっとわたしが見ていたのは、、
最初からわたしが欲しかったのは、、
静かな部屋にケータイが鳴り響いた。
この着信音は彼女から。
「も、もしもし」
「のっち?ゆかじゃけど、、今からのっちのとこ行っていい?ってか、もう家の近くまで来とるんじゃけど・・・・」
ケータイを握る手が少しだけ震えた。
だけど、もう逃げない。
自分の気持ちに嘘はつかないって決めたんだ。
数分後、玄関のチャイムが鳴る。
そして、これから起こる奇跡をわたしたちはまだ知らない。
最終更新:2009年04月10日 01:16