告白をした後、あまりの恥ずかしさに逃げるように帰ってしまった。
家のドアを閉めると同時にゆかちゃんに電話する。
「はぁ、はぁ、ゆ、かちゃん?」
『もしもし?のっち?』
「こ、告白したよ」
『やったじゃん!!…で、どうなったの?』
「はぁ、、走って、帰って来ちゃった」
『え?』
「恥ずかしくて、帰って…」
『はー!?』
「だって、もう、なんか…」
あ〜ちゃんに告白した瞬間頭の中が真っ白になって、その後の記憶が無い。
あ〜ちゃんがどんな顔してたか、見る余裕なんてなかった。
『まぁ…のっちにしては頑張った頑張った』
「そう…かな」
『うん。あとはゆかの作戦通りにいくか、だね』
「作戦?」
『あ、こっちの話だから気にしないで!』
「それならいいんだけど…って、あー忘れてた!!」
『何?!どしたの?』
「ちゃあぽんの浴衣、着たままだった…」
夏休みに入るまであと少し。
今だ浴衣を返せない自分がいる。
毎日三人で帰ってはいるんだけど、ゆかちゃんを真ん中にして、あまりあ〜ちゃんと直で話す機会がない。
もちろんあ〜ちゃんからの返事はまだない。
いや…別にのっちはただ自分の気持ちを伝えただけだから
初めから返事なんて存在しないのかも、だけど。
放課後になってゆかちゃんは最後の委員会があるからとのっちに告げる。
困った。
必然的にあ〜ちゃんと二人になる。
今の自分にその場を取り繕える力なんてない。
必死で何か手段を考えていると、教室に鞄を持ったあ〜ちゃんが来た。
目が合う。
変な間が空いて、ゆかちゃんのことを尋ねられる。
委員会のことを知らせると、また変な間が空いてじゃあ帰ろうかと言われた。
頷いて自分の鞄を手に取る。
蝉の声がうるさい。
普段ならのっち達の笑い声の方が大きくて気にもならないのに。
ひたすら無言。
会話が無い分、微かに当たるあ〜ちゃんの手に意識が集中していた。
あの日のように、この手を握りたい。
そんな考えが頭を過ぎるが、今はもうできない。
自分の欲をごまかそうと何か話題を探す。
「のっち」
良い話題が見つかったと思ったら、あ〜ちゃんから話しかけられる。
あ〜ちゃんの横顔は真剣そのもので、この後に振られるであろう話題はすぐに想像がついた。
「のっちがこの前言ってたことだけど」
「のっちが言った『好き』って…そういう意味の『好き』?」
あ〜ちゃんの指す『そう』がどういう意味か。
「…うん。」
のっちはあ〜ちゃんの判断に任せることにした。
「そっか…。」
それだけ言って、後は無言状態に戻りたくなかったのっち達は
全然関係ない話題を探してはとりとめもない話をした。
あの日のことに触れないということは、
浴衣のことにももちろん触れなくて。
のっちの部屋には返しそびれた浴衣がクリーニング屋から返ってきた状態のまま掛けられている。
それを見る度に胸が締め付けられる日々がまた続いた。
つづく
最終更新:2009年04月10日 01:19