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(K)


さっきまで抱きしめてくれたりキスしてくれてたのに、
なんで今はこんなにテンパるの?
背中に腕を回すと、その体を固くして反発しようとするのっち

「あ、ちょっと離れ、」
「やだ…」
「や、ほんとちょっと離れて…」
「やだってば…」

必死に離れてと言ってくるのっちにちょっとだけ、傷ついた

「…なんでそんな事言うの」
「だ、だからぁ……」

「…ドキドキしすぎて寝れんもん絶対…」

聞こえてきたのっちの声があまりに弱々しくて可愛くて
離れるもんかと、回した腕に力をこめた

「さっきまで抱きしめてくれてた人とは思えんねぇ」
「状況が違いすぎるよ」
「状況?」
「…ベッドの外と…中と…」
「中だから緊張しちゃうの?」
「うん…」

可愛いなぁもう

「ふふっ。何考えてんだろうね〜のっちは」
「なっなんもやましいことは!」
「やましいこと考えてるんだぁ…」
「!」

あわあわと慌てふためく姿に顔が緩む

「ふふ、慌てすぎっ」
「あぁー…」

よりいっそう体を密着させると
言葉にならない言葉がため息まじりに吐き出された
可愛いくてしょうがなくて、自然と笑いが込み上げてくる

「ふふっ」
「笑わんでよ…」
「のっち可愛い」
「…ゆかちゃんのが、」
「ん?」
「ゆかちゃんの方が可愛いよ…」

今まで距離なんてできないのに、無理に作ろうと固まらせてた体の力が抜けたと思ったら
ふわっと壊れ物を包むみたいに、のっちの手がゆかの背中に回された

「…」

それ以上は何も言わずに緩く抱きしめるだけで。
だけど胸はぎゅっときつくなった

ああ、キス、したい

頭いっぱいに広がる甘い思考
掻き消すつもりは、ない




(N)


腕の中で動くゆかちゃん。そっと、体を押される
目が合うより早く、唇に唇の感触がした

思わず体を引いたら、背中に回っている手でぐっと引き寄せられて
手はいつの間にか頭に回っていてもう、逃げられない

ゆっくり…差し込まれる舌
柔らかいその感触に
開きっぱなしだった目をあけていられなくなってきて
…自然と閉じてしまう


あ、やばい、気持ちいい…


って!だめだめだめ!
これはまずすぎる!
閉じた目をかっと見開いて理性を呼び覚ます
気持ちいい感触から逃げるように、
ぱっとゆかちゃんの唇から離れた

「あ…」
「ゆ、かちゃんっ…ダメ」

もう既に少しうつろな目をしたゆかちゃん
その目と目が合うと脳内で警告音がビービーとうるさく鳴り響いた

早く…早く逸らさなきゃ
じゃないと、もう…

合った目がふっと優しく笑わって、閉じられていく
それと一緒に、赤い舌をちょっと出したゆかちゃんがもうそこに迫っていた

思わず目をギュッと強くつむる。それと一緒に口もピタっと閉じると
すぐにゆかちゃんのそれの感触がした
口が開かないって分かると、ゆかちゃんはあの柔らかい舌でのっちの唇を舐めた

唇の形に沿って舌をはわすその行為に、
我慢して我慢して我慢するためのストッパーが
ギチギチと鈍い音をたてて少しづつ緩んでいく


「舌、出して?」


熱っぽいその声に、
ガチャンっ!と大きな音をたててストッパーが外れた

次の瞬間、のっちはゆかちゃんに覆いかぶさるようにして
ご希望通りに舌を出していた



嬉しそうにのっちの顔を引き寄せて舌を食べにくるゆかちゃん
理性がガタガタと音をたてて崩れ始めた

「ふっ…」

漏れだす息はのっちのもの
ゆかちゃんのが、聞きたい
絡む舌を一度ほどいて唇を離す

「ゆかちゃん、舌…出して」

なんのためらいもなく簡単に出された舌を捕まえたその時、
廊下を人が歩く音がした

一瞬で身を固くして、今までしていた行為をピタっとめる
全神経をその音に集中させた

ドアを開いてしばらくして、水を流す音
誰かがトイレに行ったんだ
また部屋の前の廊下を歩く音がして、帰っていった

はぁー…っと、ゆかちゃんの横にため息と共に崩れ落ちると
不満そうな顔で見つめられた

「続きは…?」
「しない」
「したい」
「しないよ」
「やだぁ…」

ぎゅっと抱きついてくる

「もう寝なきゃ、ね?」
「…そうだけど」
「それに、ここじゃ危ないよ」
「…そうだけど」
「ね?寝よっ。朝早いし」

自分にも言い聞かせる
本音は続きがしたいけど、そういう訳にもいかないし…あーあ

「じゃあ…腕枕して?」
「いいよ。はい」

のっちの腕に頭を置いて、鎖骨の辺りに顔を擦り寄せて
居心地のいい場所を探すゆかちゃんはなんだか猫みたいで

「…猫みたい」
「何?」
「や、猫みたいだなって」
「…にゃ?」

一瞬止まる時
合った目がどちらともなく細くなる
クスクス笑い合って穏やかな空気に包まれる

「それ可愛いっ。もっかい言って?」
「ふふっやだよ」
「えーいいじゃん。もう一回」
「やぁだ。はい、もう寝よ!」
「もっかい聞いたら寝る」
「アホなこと言ってないで。おやすみ」
「おやすみだにゃんって言っ、」
「のっち」
「はい。ごめんなさい」

渋々目を閉じると眠気が一気に襲い掛かってきた

「おやすみ…ゆかちゃ、ん」

ゆかちゃんの匂いに包まれながらすっと、
静かに眠りに落ちていった










最終更新:2009年04月14日 23:11