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今回で何度目だ?

高校で2回、中学で4回、小学校で7回、そっから前はもう憶えてない。
この回数は引越しの回数。
いわゆる、うちは転勤族ってやつ。
お父さんが単身赴任すればいいのに、お母さんが「家族はいつも一緒にいるものなのよ!!」って言うから。
あたしは、親の都合で転校しまくりの人生。

友達を作っても好きな人が出来ても、結局また別れなくちゃいけない。
友達・好きな人と別れるのは、かなり辛い出来事。

だからあたしはそういう思いをもうしたくないから、人を避けるようになってしまった。
もう友達は作らない。誰も好きにならないって決めた。
あんな辛い思いをするなら、一人でいた方がマシ。

高2の秋、3校目の高校。
今日は転入手続きでお母さんと一緒に学校へ行く。

「彩乃、お父さんのお仕事落ち着いたからこの学校で卒業出来るからね」
「ふーん・・・」
お母さんは明るく言うけど、あたしは素っ気無い返事。
だって、そのセリフ聞くの3度目。だから、あたしは鵜呑みになんてしなかった。

ここの学校は女子高。女子高は初めてだった。
なんとなく自分には合わさそうな、お嬢様学校って雰囲気。

ヤバイ・・・こんな雰囲気で残りの高校生活過ごせるのかな・・・。
転校は慣れているはずなのに、変に不安になる。

事務手続きして、職員室に行く。
放課後だけど、部活動をしている生徒がチラホラいる。

「初めまして。僕が担任の中田です」
担任になる先生は、妙にニヤニヤしてモゴモゴしゃべる人だった。



「娘の事、よろしくお願いします」
お母さんはは深々とお辞儀をした。
「あっ、よろしくおねがいします」
あたしは首だけ曲げて挨拶をした。

先生は一通りこれからのことを、あたしたちに説明した。
明日からこの学校に通う事が正式に決まった。

「ちょっと、お母さん先生に用事があるから、あんた先玄関に行ってなさい」
「はーい・・・」
あたしは言われたとおり、玄関でお母さんを待つ事に。

「ギャーーーーーー!!!」
後ろからすごい叫び声が聞こえた。

振り返ると落ち葉と一緒に、プリントらしき紙が豪快に舞ってた。
風で飛ばされたのかな?
そしてその紙に一生懸命飛びついている一人の女の子の姿が目に入った。
制服着てるし、ここの生徒だろう。

あたしは見かねて、飛び散った紙を拾ってあげてる。
飛ばされた紙はコピーされた楽譜だった。その子にそれを渡す。
「あの・・・これ」
「あっ、すいません。ありがとうございます」
その子はニコっと笑って、会釈して行ってしまった。
いかにも『女の子』って感じの子だったな〜なんて思った。

翌日初めての教室へ、先生と一緒に行く。
戸を開けて、教卓の横に立つ。
クラス全員の目線が痛い。
先生があたしのフルネームを黒板に大きな字で書いた。



「はい、今日から同じクラスメイトになる、大本彩乃さんです。みんな仲良くね」
教室がざわつく。
「じゃ、大本さん一言挨拶して」

「大本彩乃です。よろしく・・・おねがいします」
あたしは皆の前でするこの挨拶がこの世で一番嫌い。

「あ!!!昨日の!!!」
教室の窓側から大きな声が聞こえた。
叫んだのは昨日、楽譜を拾ってあげた子だった。

「あ・・・」
あたしも思わず声が出た。
「なに?二人とも知り合い?」
先生がニヤニヤして、あたしとその子を交互に見て尋ねる。
「まっ・・・いっか。じゃ大本さん、窓側の一番後ろの席座って」
先生はあたしの返事は訊かず、席に案内された。

あたしは言われた席に着く。
叫んだ子の隣だった。

「昨日、私服だったから、てっきりOGの人かと思っちゃった。転校生だったんだね」
その子は速攻あたしに話しかけてきた。
「はぁ・・・」

「あっ、あたし西脇綾香。みんなからはあ〜ちゃんって呼ばれてるから、大本さんもそう呼んで」
「はぁ・・・」

「よろしくね。わかんない事あったらなんでも訊いて」
あ〜ちゃんって子はあたしに握手を求めてきた。
「よろしく・・・」
あたしは握手した。
もう友達を作らない、人を好きにならないって決めてたあたし。

そう決めたつもりだったのに・・・。









最終更新:2009年04月14日 23:18