先生から「さよなら」を告げられて
どん底まで落ち込んで
一時、もう浮上できんような気さえした。
けど
「ちゃんと、ステキなオトナになってね」
先生からの最後の言葉。
歩き出さなきゃ。
歩き続けなきゃ。。。
ちゃんと、高校を卒業した。
大学にも進学した。
そして、社会へ一歩踏み出した。
先生を思い出すことは
少しずつ減っていった。
けど、ずっとずっと
ココロの片隅には残っていて。
あの日の
先生の体温は、未だ
このカラダに刻まれたまま・・
いや
初めて会ったときから
ずっとずっと
のっちは、先生に囚われたまま、、、だ。
サクラの花びらは
ヒラヒラと舞い踊り
ココロん中を踏みしめる。
あの日、先生が刻みつけた
先生の足跡は
もうとっくに消えてしまったけれど
きっと、それは
消えてしまったのではなく
目には見えない
もっともっと奥まで・・・
染み入ってしまっただけ、、なんだ。
先生への想い。
そう
消し去れない、のではなく
大事に守っていた。
いつまでも、いつまでも、、、、
自分でも呆れてしまう。
けど、仕方ないよ。
先生以上の人、なんて・・・
うぅん、、、
先生は唯一なんだ。
ふぅ、、、
今年は、まだまだ肌寒いな・・・
母校の
想い出の桜の木を見上げる。
満開までは、もう少し時間がかかる、かな。
卒業してから
年に1度、先生と初めて出逢った、その日
こうして、サクラを眺めにくることにしている。
けど、いつの間にか
あの頃のように
手を伸ばし、花びらを捕らえようとは
しなくなっていた。
あの日の、先生のキモチ、が
今なら、ほんの少し、、、かもしれないけど
わかるような気がする。
そっと、コートに差し入れていた手を抜き出し
手のひらを見つめる。
何年経っても、
先生のあの、キレイな指先は鮮明に思い出せる。
あ
ふわりと
手のひらに、花びらが舞い降りた。
ははっ・・・
必死になって掴もうと
何度も何度ももがいた、それ、が
今、
いとも簡単に、手のひらの上へ。
ぎゅっと、握り締める。
なるほど、、、ね。
はじめから、こうすれば、よかったんだ・・・
頬を、あたたかい何かが流れた。
先生?
あなたが言う“ステキなオトナ”てのに
あたしは、少しでも近づけてるのかな・・・?
っ!
急な、着信に驚いて
携帯を確認する。
あ〜ちゃん、だ。
「もしもし」
「もしもし、のっち?今、どこにいるん?」
「今?えっと、、、、母校?」
「・・・やっぱり…」
「…すんませんねぇ、相変わらず、、、で」
あ〜ちゃんは、この日の習慣を知っている。
だけど、そのことに関しても
先生、に関しても
卒業以来、何も言ってくることはなかった。
「・・別に、いいんよ…」
「…うん」
「・・・のっち?」
「ん?」
「今から、そっちに行くから」
「はっ?」
「待ってて!」
勢いよく、きれた電話。
相変わらず、だなぁ・・
一体、なにしにくるんだか・・
振り返ると
校舎の屋上に視線がうつる。
久しぶりに、上がってみようかな・・
春休みで、生徒もまばらだし。大丈夫っしょ。
てか、卒業生だから問題ないでしょ。
不審者扱いされたら、、、、そのとき、考えよっと。
校舎に向けて、足を進める。
建物の中は、多少は様変わりしてるものの
懐かしさで溢れていた。
屋上へ向かう。
途中、写真部の部室の前を通る。
はぁ…
高校生活の3年間。
いろいろあったはずなのに
思い出すのは
先生と過ごした時間ばかり。
時間にしてみれば
ほんと、ほんのわずかなのに・・
いかん、いかん!
昔の思い出に足をすくわれないように
颯爽と、屋上を目指す。
たどり着いたそこからは
抜けるような、青空が広がっていた。
指定席だった、ベンチはまだちゃんと残っていて
そこに、ちょこんと座る。
風が吹きぬける。
地上よりも少しだけ冷たいそれに
思わず、肩をすくめる。
けど、やわらかい日差しに
少しだけ近づいて
確かに、春はもうそこまできていることを感じる。
さて、と。
あ〜ちゃん、いつ来るんだ・・?
なんて、校庭を見下ろすと・・・
えっ・・・?
心臓が止まるかと思った。
サクラの木。
何年か前の記憶がフラッシュバックする。
先生っ!?
思うよりも早く
校舎を駆け下りていった。
最終更新:2009年04月14日 23:20