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A『ゆかちゃ〜んっ、ちょっとそれ取ってぇ。』
K『は〜い。……これ?』
手に差し出された大きめなお皿。

A『うん、ありがとう。』

カシノユカ

彼女は我が家のお手伝いロボット。
外見は人間と全く変わりなくて、あたしもそのつもりで接している。

街にはそこかしこにゆかちゃんのようなロボットが当たり前のように生活している、そんな世界。




A『もう、今日は先寝てていいよぉ。後はあたしがやっとくから。ゆかちゃんはお風呂でも、って、あ、ごめんっっ。』

彼女はふわりと優しく笑ってくれる。
こんな顔出来るのに人じゃないなんて……。

K『いいよ〜、気にしなくて。それだけ”そう”扱ってくれてるって事でしょ?アリガト。』
A『なんで、そこだけわざとロボット口調なのっ?!』
言って吹き出すあたし。

彼女の優しさは人のそれ以上なのに、
触れたら暖かいし、
口づけたらこんなにも胸がときめくのに。

そっと手を伸ばし彼女からのキスをねだる。

瞳を閉じその時に神経を集中させているとほどなくして、唇に柔らかい感触が。

短いキスを交わしおでこをくっつけ微笑み合う。
この瞬間があたしの幸せ。

A『……ちょっと今日寒いね?』
K『うん。……一緒に寝る。』
A『えっ?!』
K『あ、顔赤くなったぁ〜。あ〜ちゃんやらし〜。』

嬉しそうにはしゃぐあなたに胸がキュッとなる。




あたしたちは愛し合ってる。
でもきっと一生報われる事はない想い。


出会った事が間違いならば、いっそこの温もりを知らなければ幸せだった?

でもこの熱が冷める事はないから。

誰も知らない、二人だけが知ってる事実。



二人で眠るベッドは少し狭かったけど、
その分くっついて眠れるから楽しかった。


A『……ゆかちゃん、ここに来た事、後悔してない?』
K『してないよ?だって、あ〜ちゃんに出会えたし。ゆかは幸せだなぁ〜っていっつも感謝してるよ。』

しがみつく力を強めると
彼女は優しく笑って頭をよしよし、と撫でてくれる。

K『あ〜ちゃん、大好き。』
A『あ〜ちゃんも大好きだよ。』


キスして欲しいなぁ、

思ったタイミングで彼女はキスをくれる。

いつもそう、まるでエスパーなんじゃないかってくらいあたしの望んだ事を叶えてくれる。

本当に本当に、
大好きすぎて涙があふれる。

K『あ〜ちゃん、泣いてる?』
A『な、泣いてないよっ。』

K『大丈夫よ、あ〜ちゃんより先にいなくなったりしないから。』
A『ぅぅっ……。ゆかちゃんは辛くないの?』
K『こんな泣き虫な子を置いてはいけないよぉ〜。』
茶化すようなでも優しいその声にどんどん胸が苦しくなる。

あたしが抱える不安さえも見抜いてしまう。
その居心地のよさにまた不安が募る。

あたしは彼女を失ったら生きていけるんだろうか……。


K『あ〜ちゃん、ありがとう。』

駄目だ。
いよいよ涙が止まらない。

ゆかちゃんの胸の中で鳴咽を漏らすあたしにやっぱり優しいその手の感触。


泣くだけ泣いて少し落ち着いたあたしを見計らったような、
K『明日どっか出掛けようか?天気もいいし、お花見でもする?』
彼女の明るい声色に、
A『ずる。』
鼻声で答える。
K『ぶ、はっ!!』
A『……ははっっ。』

余りにも情けない声に自分でも肩の力が抜けて行った。

二人でひとしきり笑ったらなんだかすっきりした。


あたしは深く考えすぎてしまうから。
自分で自分を不安にさせてしまうのを彼女には見抜かれてる。


もう、ゆかちゃんなしじゃあたしはあたしじゃないんだろうな。


(続く)








最終更新:2009年04月14日 23:28