手を伸ばせは届く距離に彼女がいる。
だけど、いつだって、、この手を伸ばすことを躊躇ってきた。
わたしの想いを知っても、、君は変わらずに笑っていてくれる?
不意に途切れた会話。
視線が交わった。
その深い瞳に吸い込まれてしまいそうになる。
あのね、ゆかちゃん、、
別れたんよ、あの人と。
思えばもう一ヶ月くらい会ってなかったし、電話だって一週間ぶりだったんだ。
たぶんもう会うこともなくなるのに、全然悲しくも思えないなんて最低かな。
でも、あの人の肩まで伸びた髪はゆかちゃんのみたいにサラサラ風にゆられなかったし、電話から聞こえる声はゆかちゃんのみたいにのっちの心をゆらしはしなかった。
なんで遠回りばっかりしちゃうんだろうね。
のっちはさ、ゆかちゃんに嫌われるのが一番怖いんよ。
でも、のっちは、ゆかちゃんが、、
「すき」
心の声が漏れたかと思った。
だけど、その言葉を発したのは紛れもなくゆかちゃんで。
「のっちが、好き、、なの」
両手で顔を覆いながら、そう声を震わせるゆかちゃん。
その華奢な肩も震えている。
ゆかちゃんが、のっちを?
でも、ゆかちゃんには、、付き合ってる人がいて、、
「ごめ、、こま、る、、よね。。・・・・ごめんなさぃ」
頭は混乱している。
だけど目の前で震えてるゆかちゃんを抱きしめずにはいられなくて。
その華奢な肩を包み込むように手を伸ばして、すっぽりと腕の中に納めた。
「そんなことない。困らん、、、困るわけないよ。。」
初めて抱きしめた身体は折れてしまいそうなくらいに細くて柔らかくて、、甘い匂いがふわりと香ってくる。
「すき、、、です、、ゆかちゃんが」
自分でも情けないほど小さく呟いた言葉。
でも、言葉にできるのはこれが精一杯だ。
「・・・・ぅそ、、だぁ・・・」
「嘘なんか言わん、て。。」
顔を覆ったままのゆかちゃんの手を握り、少し強引に引き寄せた。
そして、そっと顔を近づけて、唇を重ねる。
拒絶、は、されなかった。
何回かの浅いキスのあと、ゆかちゃんからもキスをしてくれた。
上唇と下唇を交互に食みながら、何度もキスを繰り返す。
初めて触れた唇は、今まで触れたどれよりも柔らかくて、時おり零れる吐息は溶けてしまいそうなほどに甘い。
彼女の細くて長い指に、自分の丸っこくてウィンナーみたいだとからかわれた指を絡めた。
指を絡めたまま、お互いにぎゅっとその指を握る。
「・・・・ねぇ、ゆかちゃん。のっち、さっきフラれたんよ」
「ゆかも、、さっき、別れてきた」
「!!」
「何その顔w」
びっくりして思わず目を見開いたら、ゆかちゃんが泣きながら笑った。
奇跡みたい。夢でも見てるんかな?
のっちの腕の中にゆかちゃんがいる。
ずっと望んでたもの、ずっと欲しかったもの。
それが、今、この腕の中にある。
絡めた指に力を込め、この奇跡が消えてしまわないように願う。
「ゆかちゃん、、のっちの彼女になってください」
黒目がちな瞳いっぱいに溜められた涙が零れ落ちる前に、可愛い唇にキスを落とした。
最終更新:2009年04月14日 23:46