Side-n
うそだ
うそだ、うそだ
うそだ、うそだ、うそだ、、、
んなことあるわけない!
けど・・・
のっちが、先生のこと
見間違えるはずない。
思考がうまくまとまらないまま
校舎を駆け下り
夢中で、サクラの木を目指す。
はぁ、はぁ、はぁ、、、
呼吸と共に上がる、心拍数。
っ!
すらっと伸びた、白く長い腕。
さらさらと風に揺れている、黒く長い髪。
写真のフレームを作るように
宙にかざされた
細く長い、、、キレイな指先。。。
先生、だ。
「・・・樫野、先生?」
その声に振り向いた先生の瞳は
初めて会った日と同じように
少し、赤かった。
Side-k
やっぱ、ここのサクラを見るのはツライや・・
そう思い、思わず泣きそうになっていると
「・・・樫野、先生?」
誰かが呼ぶ声に我にかえる。
うぅん、誰か、じゃない。
この声、この少し舌足らずなしゃべり方、、、
ぱっと、振り返る。・・やっぱり
のっち、だ。
あの頃より、大人びた姿が
長い空白時間が二人の間に流れていたことを
意識させた。
「・・のっち?」
「・・・」
「…久しぶり、だね」
「あ、はい・・」
「…元気に、、、してた?」
「あ、、、はい・・・」
「・・・サクラ、見に来たの?」
「あ、、、、はい・・・・」
ふふっ。
あの頃と変わらない
ぶっきらぼうな返事に思わず笑みがこぼれる。
ゆかが大好きだった、のっちの口ぐせ。
変わらない姿に、思わず泣きそうになる。
まだ、のっちの熱が
カラダの中に残っていることを
改めて思い知らされる。
Side-n
ふふっと
やわらかく笑う先生。
あの頃の想いがフラッシュバックする。
ココロを掴まれて、囚われて、、、
離れることのできなかった
曖昧な表情。
先生独特の、それ。
カラダの奥に刻まれた熱が
再び爆発し
花びらを吹き上げ
舞い散らさせる感覚に襲われる。
「・・なんで、、ここに?」
「・・・のっちこそ、なんで?」
先生を想って、サクラを見に、、、
そんなこと言えるわけない。
「・・いや、、なんとなく・・・」
なんだそれ。意味不明な言い訳。
「・・・先生は?」
すっと、目を伏せる先生。
「うん、、、、ちょっと、、、、サクラを見に・・・」
そう言って、再び
視線をサクラの木に戻す。
っ!
それはまさに一瞬。
ココロが反応する。
長い長い
空白時間なんて関係ない。
理屈なんかじゃなく
理由だってない
いや、そんなの必要ない。
痛いほど思い知らされる
この人なんだ、と。
この胸をぎゅっと苦しくさせるのは、先生、だけ。
ただただ、愛しい
最愛の人。
「好きです。ずっとずっと、、、変わらず好き、でした」
無意識に零れた
ずっと胸の奥にしまいこんでいた、、、揺るがない事実。
Side-k
封じ込めていた、自分の想いに
改めて気付かされ、、、
けど、のっちをひどく傷つけ、裏切ってしまった事実が
ゆかのココロを臆病にさせる・・・・
「・・・先生は?」
サクラを見に・・・、としか答えられなかった。
泣きそうになる顔を見られたくなくて
サクラの木を見上げる。
初めて会った日のことが軽くフラッシュバック。
けど違うんだ。
あの時、頭の中、ココロの中にあったのは、彼の姿だった。
けど、、、、今は、、、、、
「好きです。ずっとずっと、、、変わらず好き、でした」
っ!・・・
のっちは、何年経っても
変わらず、まっすぐだった。
臆病なゆかが作った壁を
いとも簡単に超えてしまう。
その自由な翼、で。
溢れ出そうな感情に
うまくコトバを発せられないでいると・・
かさっ、、、かさっ、、、、
のっちが近づいていくる足音。
えっ・・
そう思うと同時に
ぎゅっと抱きしめられた。
「・・・大好き、です」
のっちの、そのコトバに
余計なものは全部、ハズレた。
「…ゆかも、、、大好き」
Side-n
想いをコントロールする術なんて
最初から知らない。
気がつけば、ぎゅっと
先生を抱きしめていた。
ほんと・・・
「・・・大好き、です」
もう、届かないことくらい
重々、承知だよ・・
「…ゆかも、、、大好き」
予想の範疇を超えたコトバに
コトバを失う。
腕の中、少し斜め下にいる先生と
目が合う、、、次の、瞬間
先生の唇が、そっと
のっちの唇に、重ねられた。
全てぶっとんで、完全にフリーズ。
Side-k
キモチが導くまま、のっちにそっと口付ける。
のっちは、大きな瞳を見開いたまま
「のっち?」
「あ、はい」
「さっき、、、なんて呼んでくれた?」
「えっ、、、、樫野、先生、、、
あっ、、、すみません!もう、樫野先生じゃないんですよね!」
慌てるのっちの姿が、かわいらしくて
とても愛しい。
「んーん、、樫野、でいいんだよ?」
「えっ、、、なんで?・・・夫婦別姓、ですか?」
ぷはっ、、笑っちゃいけないとも思うんだけど
あまりの、純粋さに思わず笑みがこぼれる。
やっぱ、大好き、だ。
「んーん、、、ポイント1、ついちゃったんだよね」
ねぇ、、、それでもいいかな?
Side-n
なんだ、なんだ!?
えっ、、樫野先生、でいいの?
えっ、、、、ポイント1、、、?
のっちのこと、、好きって・・・
そういうことで、いいんですか?
再び、ぎゅっと
さっきより、強く
ぎゅっと抱きしめる。
ヒラヒラ、ヒラヒラ、、
華麗に宙を舞う、花びらを
ようやく、この胸に抱きしめる。
ふわふわ、ふわふわ、、、
あまりの展開に現実感が伴わない。
けど、この温もりは、現実、、、だ。
もう、離さない。
放したく、ない。
「んー・・・問題ないです。
のっち、スリーポイントシュート得意だから」
「えっ?」
「3対1、でのっちの勝ちw」
Side-k
のっちの勝ち。
そう言って、へらっと
のっちは、独特の笑顔を浮かべる。
「えぇー、意味わかんないんだけど?」
そう言って、
ぎゅっと、抱きしめられるよりも強く
抱きしめ返した。
もう二度と、離れないように。
最終更新:2009年04月14日 23:51