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サイドK


心臓を突き刺して、もっと奥の方まで。
もっともっと奥まで。
もっと奥まで入ってきて。
ぬるい体温の中で二人ドロドロになって、よじれて、もう少し激しくして。
心臓を突き刺して、もっと奥の方まで。
もっともっと奥まで。
体の中に刻み付けて。
私、のっちじゃないと、物足りないの。




大学一年の冬。
私は大学をやめた。
さよならのっち。
さよなら愛しい人。
地球上であなたより愛しい人なんか、どこにもいないよ。
さよならのっち。




不覚にも私は、離れることを選んでしまった。
結局何も言えないまま、愛想笑いで誤魔化しながら、友達の輪から外れ、そのまま大学をやめた。
のっちのこと、我慢できなかった。
触れているのに、触れてない素振りなんてできなかった。
だから私は、不覚にも離れることを選んでしまった。
愛しい彼女に何も言わぬまま。卑怯だね私は。
あなた無しじゃ無理なのに。
別れの場面さえ与えないで、不覚にも離れることを選んでしまった。
私が大学をやめたこと、のっちは人伝いに聞いた。
連絡手段は一切閉ざしたし、もう会えることはなかった。
誰にも言えない秘密の恋愛を楽しめるほどの小悪魔にはなりきれなかった。
顔を見れば抱き締めたくなる。
声を聞けば、その口にキスをしたくなる。
だからもう・・・会えなかった。
唯一連絡をとった相手はあ〜ちゃんで、やっぱり優しくしてくれた。
のっちが泣いたのも、知らせてくれたのはあ〜ちゃん。
『ごめんね』と、泣きながら何度も謝ってくれたのもあ〜ちゃん。



あなたはまだ泣いてるの?
それとも独りの夜にも、もう慣れた?
それとも、もう独りじゃない?とか?
あれからどのくらいたった?もう半年くらいたつのかな?
大好きでしょうがないあなたを、独り占めしたかった私は、それが無理なことに気付いて、あなたの前から姿消したの。
でもいつでも思い出すよ?
いつ見ても綺麗な横顔。
誰にも見せたくないんよ。本当はね。


なんて、、。
いまさらもがいて、確かめたって、離れてしまったその手は、もう知らない誰かと繋がっている?のかな?
あなたが泣いたなんて、今でも信じられない。余裕のあるふりをして、あなたの側にいた時のこと、考えては泣きそうになるよ。



『不用意な一言で傷つけてごめんね。。』
電話の先で何度も謝ってくれるあ〜ちゃんは、いつも泣き声だ。
『いんよ、もう終わったことだし。』
やっぱり喋り方はうつってた。たった半年くらいしか一緒にいなかったのに。
あ〜ちゃんに、のっちとのことを聞かれた時は驚いた。まさか彼女が自ら、あの関係を誰かに話すとは思わなかったから。
『今どこにいるの?』
『何をしてるの?』
あ〜ちゃんはのっちからしつこく聞かれてるらしいけど、私はあ〜ちゃんにさえそれを言わなかった。
独りになりたかった。
早く忘れたかった。
多分あの一言は、予防線で、未来もないこの恋愛にどっぷり浸かる前、救い出してくれた一言だったんだ。




そう。
未来なんかないんだ。
私も彼女もどっかで気付いていたこと。
だけどのっちは、そんなの関係ないよって、いつだって強くて優しかった。
弱い私は、そののっちの優しさが辛かったの。
私はどこがで、未来のないこの恋愛を諦めてたのかもしれない。
そしてそんな考えを、のっちに悟られたくなくて、強がった。
余裕のあるふりは、お互い様で、私たちは子供で、強がることでしか、相手を想えなかったんだね。
自分の未来さえ見えてないのに、あなたとの未来を語る勇気は、私にはなかった。
ごめんね、のっち。
さよなら、のっち。
だけど今でも
愛してるよ、のっち。










最終更新:2009年04月14日 23:57