<k-side>
「何か用ですか?」
あたしと声をかけてきた男の間に割って入って、普段なら考えられないキツイ口調ののっち
ポタポタと雨が降る。
のっちの背中が、いつもと違く見える
なのに
「ふぅ。ゆかちゃんアイドルじゃけぇ気ぃつけなあかんよ」
振り向いた笑顔はいつもののっちで
ぽたぽたと雨が降る。
「アイドルって、のっちもそうじゃん」
あたしは笑っていったけど、のっちと目も合わせられない
「ん?どぅしたん?」
のっちと、いつも一緒に居るのっちと、目も、合わせられない
ポタポタと雨が降る。
視線が泳ぐ。顔が熱い。のっちが何を話しても、相づちを打ちながらあたしは・・・
「あ・・・・」
傘の先から、水滴がこぼれてのっちの肩にかかりそうになって、あたしはとっさに身を離した
「・・・・・っ!」
え・・・?
「のっち?」
のっちはあたしの腕をつかんでいる。のっちの傘が、開いたままで寝っころがってた
のっちの髪が、濡れる。のっちの目が、真剣にあたしを見ている。
「・・・・・・でよ」
のっちが呟いた一言が雨のぽたぽたに混じって消えた
「・・・?」
「・・・・離れんでよ・・・」
トクン・トクン・
心臓の音ってこんなにはっきり聞こえるものだろうか
「あたしの傍から、離れんで・・・ゆかちゃんはあたしが守るけぇ・・」
<n-side>
自分が何を言ってるのか、よく解んない
「のっち」
ゆかちゃんは小さく呟いて、あたしを抱き締めは、しなかった
ただ、あたしの服のお腹あたりをギュウっとつかんで、震えていた
「のっちの傍から、離れられんよ・・・」
ゆかちゃんは目を合わせない、俯いたままで、その黒髪が濡れていくのが見えた
「そんなん、言われたら・・・もっともっと、離れられん・・・」
そして、顔を上げて泣きそうに潤んだ目で
「もぅ、どうなってもいい位、」
あたしはゆかちゃんを抱き締めた
「・・・・・・・すきじゃけぇ」
あたしは、なんて弱いんだ。なんて怖がりなんだ
誰かを失う事をこんなに怖いなんて、思ったこと無かった
でも、それでええんよ。
ゆかちゃんと居れるなら、どんな孤独も、辛さも、平気なんよ
だから、ずっとこのまま。出来る限りでええけぇ、一緒に・・・・
END
最終更新:2008年10月10日 17:01