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ゆかちゃんの作って来てくれたお弁当をたいらげご満悦なあたし。

K『ふふふ、あ〜ちゃんご飯粒ついてるよ?』

長くて綺麗な指先が躊躇う事なくあたしの唇のはしをかすめる。

そしてあっという間にあたしの顔に着いていたご飯粒は、ゆかちゃんの唇へと吸い込まれて行った。

A『な……っ。い、言ってくれたらっ、じ、じ自分でっ取れたもん。』
K『え〜、だってこうしたかったんだもん。てか、あ〜ちゃん照れすぎぃ〜。』
嬉しそうにしてるゆかちゃんにますます顔がほてっていく。


へそまげた子供みたいに膨れっ面で黙って恥ずかしさをやり過ごしてたら、
K『おいで?』
優しい顔して、自分の膝を指さしていた。


悔しいから、膨れっ面のまま、

コテン

と、横になり膝の上に頭を乗せてみる。

ゆかちゃんの手があたしの頭をなでる。
その感触が気持ち良すぎるのと、満腹になったのとで次第に眠気が襲ってくる。

K『寝てもいいよ。』


あたしが何も言わなくてもやっぱり伝わってる。

実は彼女はテレパシーも使えるロボットなんじゃないのか?!

なんて、事さえ浮かんでくる。



ロボット……。



そっか、ゆかちゃんロボットなんだよね…。



幸せなはずなのに、なんともやり切れない気持ちが込み上げてきて、
それを打ち払いたくて固く瞳をつむってみた。


頭には依然、優しい感触。


ダメ、
また…。

K『あ〜ちゃん?ゆかは幸せなんだよ?だから大丈夫。』


やっぱりあたしの考えてる事伝わってるの?



苦しくて、でも嬉しくて。
そんな複雑な想いが、ゆかちゃんのスカートの裾を握る力を強くさせる。


あぁ、シワになっちゃう……。

早くこの手を離さなきゃ。





お花見からの帰り道。
辺りはすっかり暗くなっていて、
あたしの心もすっかり暗くなっていて。


ダメだなぁ…。
あたしなんでこんなに弱いんだろ。


一人でいるより、
二人でいる方が辛いだなんて知らなかった。

でもきっと、これは幸せの痛みなんだけど。


K『……今日も一緒に寝て上げようか?』


あたしは黙ったままうなずく。

あたしの不安を取り除けるとしたら、
それはあたしだけなのに。
ゆかちゃんに甘えてもあたしは強くなれない。

でも、そんな強さならいらない。
そう思ってしまう、やっぱり弱いあたし。



A『ゆかちゃんさぁ、初めて会った日の事覚えてる?』
K『うん。忘れる訳ないじゃん。忘れたくないもん…。』

多分、メモリーに上書きされてなければそれは永久に残せるはず。
だってゆかちゃんは……。

K『あ〜ちゃん覚えてないの?』
A『ちっさかったから、はっきりとは…ね。』

ゆかちゃんはきっと少し悲しそうな顔してるはず。
見なくてもわかる。


あたしもテレパシー使えてるのかな?


A『でも、記憶の中には全部ゆかちゃんがいるよ。あたしだって忘れたくないもん。』
K『ありがと。』

小さな呟きが、彼女の感情を伝えてくる。


まだ浮かぶ悲しそうな顔。

なんでだろ。
胸がざわめく。
根拠のない、嫌な予感。

不安が消えない。

K『また、考えすぎてない?』

ゆかちゃんの言葉に我に返って気付く。


うん、またあたしの悪い癖だね。

繋いだ手から伝わる温もりだけが事実。

それだけを信じて生きたい。


(続く)








最終更新:2009年04月14日 23:59