サイドK
『出来ることなら迎えにきてよ。』
矛盾だらけの自分の気持ちを最後に伝えたのはいつだったっけ?
ふざけあいながら例え話をしたこと、思い出すよ。
ふざけてしただけで、留まればよかったのに。
『例えば、別々の道に引き離されたらどうする?』
なんて。
そんな例え話、つらくなるだけなのわかってるくせに。あなたは“そんなことはあり得ない”って自信満々な顔してたっけ?
私の返事に困った顔をしてたことは覚えてるけど。
二人で窓の外、逃げていく月を見ながら、
『どんなに遠くに離れても、二人なら平気だよ。』
って言ってくれたのに、
あんなに近くにいたのに駄目だったじゃない。
もう済んだことだけど。
サイドN
『出来ることなら迎えにきてよ。』
彼女の言葉がよみがえる。
別れた冬の日から、もう半年近く時間は流れて、
気付けば初めて重なり合った熱帯夜の夜がもうすぐそこにきていた。
この半年近くもの間、私は何もできなくて、何の情報もないし、最近では大学にも行かなくなった。
誰に聞いても彼女のことを知ってる人は見つからないし、自ら見つけだせない自分の非力さに気分は落ち込むばかりだった。
半年近くもの時間がたっても、考えることはひとつで、思い出すのは彼女のことばかり。
記憶の中で黒い長い髪を揺らして、私の上で笑うあなたを思い出すよ。
独りの夜が辛いときは、いつも思い出してるんだよ?知ってた?
なんて、、。
半年前からいない彼女の影に、いまだに振り回されている自分は、情けない以外の何者でもなかった。
これで終わりでもいいから、せめて最後にもう一度だけ会いたかった。
さよならのキスがしたかった。
最終更新:2009年05月13日 22:38