「イダッ」
先生にもらったプリントで指を切った。
結構ザックリ深く切って、血が出てきた。
「ねぇ、あ〜ちゃん絆創膏持ってる?」
「あー、ごめん。持ってない・・・わっ、痛そう」
あ〜ちゃんは、あたしの切れた指を見ながら険しい顔になった。
「のっちの指って、ウインナーみたいだね・・・」
「えー・・・そ、そうなん?初めて言われたけど」
ほんとだ、よく見るとウインナーに見えてこなくもない?
「絆創膏なら保健室にあるけ」
「保健室ってどこ?」
「あー、まだのっち行ったことなかったよね。いいよ、一緒に行こう」
「ごめんね。ありがとう」
あ〜ちゃんは「いいよ」って言って肩をポンポン叩いた。
「てことは、のっちまだゆかちゃんに会ってないのか・・・」
「へ?誰?ゆかちゃんって?」
「会えばわかるけ〜」
「ふーん・・・」
あたしは血が出てる指を舐めながら、あ〜ちゃんと一緒に保健室へ行った。
あ〜ちゃんはノックをした。
中から「どーぞ」って可愛い声が聞こえた。
「ゆーかちゃん♪」
あ〜ちゃんはまるで友達を呼ぶ感じで中にいる人を呼んだ。
「その声は、あ〜ちゃんだな!」
そう言ってその人は椅子をくるりと回して、あたしたちの方に向いた。
「ゆかちゃん連れてきたよ」
あ〜ちゃんはあたしの袖を引っ張る。
「あー、あなたが噂の、のっちね!」
「へ?」
思わずあたしはあ〜ちゃんの顔を見る。
「ゆかちゃんにのっちの話したら、一度連れてこいって言われてたんよ」
「あたしの話?」
「うん」
「さすが!皆に人気がある顔してるわね〜」
ゆかちゃんって人は遠慮なしにあたしのほっぺをプニプニ触りだした。
「ゆかちゃんは保健の先生なんよ。先生だけど、うちらと年が近いからみんな『ゆかちゃん』って呼んでるの」
あ〜ちゃんが、あたしのほっぺを触ってる人の補足説明してくれた。
そっか、保健の先生だったんだ。そりゃそうだ、白衣羽織ってるもんね。
「のっちもあたしの事、気軽にそう呼んでいいからね」
「はぁ・・・」
「で、どうしたの?」
「あ・・・絆創膏くれますか?」
先生は引き出しから絆創膏を取り出して、指に貼ってくれた。
「じゃ、いつでも来ていいからね」
「はぁ・・・」
あたしたちは教室へ戻った。
「ゆかちゃん感じ良い人だったでしょ?」
「うん・・・」
「あそこ行くとお菓子くれるんだよ。ほんとはいけないんだけど、ゆかちゃんこっそりくれるんだ」
先生の話をしているあ〜ちゃんは、なんだかとっても楽しそう。
「それにうちらの相談をよくきいてくれるの。だからみんなゆかちゃんのこと、信頼してるし大好きなんよ」
「へー・・・あ〜ちゃんも、好きなの?」
「うん!大好き」
あ〜ちゃんに、こんな笑顔で大好きって言わせる先生にちょっと嫉妬した。
すんげーくだらない嫉妬だよなって自分でも思ったけど・・・。
「あっ、のっちの事も好きだからね?」
「は?」
突然何を言い出すんだ!?この人は!!
心臓止まるかと思ったよ!!
「もちろん、友達としてだよ?」
「わ、わかってるよ!!」
あ〜ちゃんはキャッキャはしゃいで他の友達のところへ行ってしまった。
あ〜ちゃんの、何気ない行動や一言にとんでもなく動揺する自分がいる。
あたしはすでに、あ〜ちゃんのペースにハマって抜け出せなくなっている。
あたしは・・・友達として接してくれる、あ〜ちゃんを好きでいていいの?
この気持ちは、あ〜ちゃんを裏切ってない?
あ〜ちゃん・・・あなたに迷惑はかけないから好きでいていい?
最終更新:2009年05月13日 22:41