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ザワザワと騒がしい教室。
授業が終わると皆思い思いに喋ったり、部活へ行ったりとせわしない。

「のっちー起きんさい」
ゆかの左隣の机に突っ伏して寝てるのっちを揺する。
「ん…」
もそ、と枕にしてる腕から顔を少し動かして、目を細めてゆかを眩しそうに見てくる。

…こういう所も、好きだなんて言えない。

「…終わった?」
「どっかの誰かさんがグースカ寝てる間にね」
「だってさぁ、あのRPG面白くってさー」
「もー、また徹夜でゲームしとったん?」
「うん。へへっ」
にひって笑ってるけど、前髪に寝癖ついてるよ。
ほんともう、子供みたいというか男の子みたいというか…そもそもあんた女の子でしょ。
「ほら、帰るよ」
「え、ゆかちゃん今日生徒会無いん?」
「うん。だから早く」
でもゆかは、そんな所も好きだから。
そんな貴女の隣にいたいの。
たわいもない会話だって宝物にしたいの。
ねぇ、のっち。


伝わらなくたっていいから、隣にいて下さい。





「最近あったかいね」
「うん。春だしね」
カラカラカラカラ、のっちが自転車を押すたびに音を立てる車輪。
「でも桜結構散っちゃったね」
「一昨日風強かったしね」
夕暮れに伸びる二人の影は、角度のせいかくっついてるように見えて、こっそり胸がときめいた。

「…あのさ」

不意に、風がゆかの髪を靡かせる。

「ゆかちゃん、好きな人いるの…?」

風に乗って、夕日を背中に浴びたのっちの声が耳に届いた。


  • 続く-







最終更新:2009年05月13日 22:43