気のせいだって思ってた。
のっちが学校であ〜ちゃんを避けているように感じたのも。
あ〜ちゃんと喋っていてものっちの話題が避けられているように感じたのも。
全部気のせいだって思ってた。
でもやっぱり気のせいなんかじゃなかった。
放課後既に薄暗くなった窓の外を今にも泣きそうな顔で見ていたのっち。
その目線の先には擦れ違う友達に手を振りながら足早に帰るあ〜ちゃん。
二人の間に何かあったなんて、すぐにわかった。
「のっち!!」
「ん、ゆかちゃん掃除終わったん?」
声をかければいつもののっちに戻る。
でもゆかの目はもうごまかせないよ。
「うん、終わったよー」
「じゃあ帰ろっか?」
いつも通りに振る舞おうとするのっち。
逆にそれが辛い。
ゆかが出来ること。
それはのっちの口からちゃんと聞くことだ。
「ね、のっち。今日のっちの家行っても良い?」
のっちはゆかの言葉に少し驚いたけど、
今日はバイトがないからとOKを出してくれた。
のっちの家に着く。
部屋は相変わらず散らかっていて。
つまりはあ〜ちゃんが最近家には来ていない。
それはまあ想像できていたことだけど。
「珍しいねぇ、ゆかちゃんが家来たいとか」
そう言いながらのっちが冷蔵庫から適当に飲み物を持って来る。
「そうかな」
「どしたん?何かあった?」
相変わらずなのは部屋だけじゃない。
のっちの優しさも相変わらずだ。
ゆかを気遣っている場合じゃなさそうなのに。
「…何かあったのは、のっちの方じゃろ?」
「な、何言っとるん!のっちは何もないけぇ、心配いらん」
「のっち…ゆか知っとるんよ」
その言葉にのっちの目が大きく開かれる。
「あ〜ちゃんと何かあったんじゃろ?」
「…」
「…話してくれん?」
「ゆかちゃんには…関係ないよ」
「え…?」
「ゆかちゃんは関係ない…のっちが、全部悪いんだから」
のっちが俯き、肩を震わす。
泣いてるんだ。
のっちが泣く姿なんて、正直今まで見たことがなかった。
「関係ないなんて…そんな悲しいこと言わんで」
「だっ、て…うっ…のっちが、悪い…からっ」
「なんで…のっちが悪いん?ゆかに教えて…?」
のっちはポツリ、ポツリと話しはじめた。
あ〜ちゃんにパーティーについて話した日のこと。
その日いかに自分が身勝手であったか気づいたということ。
あ〜ちゃんの優しさに頼り過ぎていたということ。
そして。
しばらくはもう会わない、ということ。
ゆかは話を聞きながら、泣き止まないのっちの背中を摩っていた。
ゆか自身も涙が止まらなかった。
「のっちは…このまま、会えなくて…いいの?」
「うっ…会う、資格なんてっ…ないから、」
「そんなことないっ!…あ〜ちゃんが、遠くに行ってからじゃっ…遅いんよ」
「遠くに…行く?」
のっちが真っ赤になった目をこちらに向ける。
「…聞いとらん?あ〜ちゃんから、受ける大学の話…」
「あ〜ちゃんの…話したかった話って、そのこと…だったんだ…」
「のっち…」
「聞いて…あげられなかった…っ…やっぱ…サイテーだ、よ」
のっちはそれからもずっと泣いていた。
そんなのっちを一人にはしておけなくて、
お母さんに許可を貰ってのっちの家に泊まることにした。
「ゆかちゃん、ごめん…ありがとう…」
そう言ってのっちはゆかに背を向け、布団を被った。
ゆかはのっちの背に無言で話しかける。
ほんとにこのままでいいの?って。
のっちの気持ちもわからなくはない。
でも、ほんとにこのままでいいのかな。
きっとお互い相手への想いが空回りしちゃってるだけ。
のっちが今、こんなにも辛く思っているということはあ〜ちゃんだって同じ。
のっちと同じぐらい、辛い。
そして二人のことが大好きなゆかだって、辛いんよ。
つづく
最終更新:2009年05月13日 22:50