サイドK
『最近大学にも来てないんよ〜』
電話のむこう、あ〜ちゃんの声。
最近髪を切ったとか、最近授業で見かけるとか、最近何も聞いてこなくなったとか、彼女のことは何度も聞いて、会えないのにその行動パターンが目に見えたのに。
不覚にも離れることを選んでしまってから、半年が過ぎ、彼女と出会ってから二回目の夏がきた。
私はあの冬の日のまま、止まったままだけど。
久しぶりに連絡をしたあ〜ちゃんから聞こえてきたのは、いつもと同じ行動パターンじゃなくて、私を不安にするには十分すぎるほどだった。
あなたは今何をしてるの?
なんて、
私が聞くのは卑怯かな?
あなたは今誰を想ってるの?なんて、
今でも愛してくれてるなんて、都合よすぎる考え。
いつか時期がきたら、
いつか自信がもてたら、
いつか、あなたが言っていたタイミングが合ったら、
あなたをまた愛してもいいですか?
なんて、、ね、、。
きっと訪れない“いつか”を待ってるのに気付いたのは、眠れない熱帯夜だった。
サイドN
夏が近づくたびに、彼女のことを思い出しては苦しくて、暑さと腑甲斐なさで、全てのやる気を失うには十分だった。
彼女の姿を見つけられない大学にも行く気力は減って、学年は二年になったけど、一年の冬から動けないままだった。
『ちゃんと学校きんさいや〜』
電話のむこう、あ〜ちゃんの声。
彼女と会えなくなってから、何かと面倒をかけている。多分あ〜ちゃんは、自分の言った不用意な一言を気にしてるんだか、私に対して優しかった。
『そんなことはすぎたことだし、それに、、防げなかったのはその時それ以上の自信がなかったからだし。』
いつか言った私のつたない言葉を、理解しようと顔を歪ませたあ〜ちゃんは笑えた。
そんな会話も、もうずっと前のことだ。
電話越しにあ〜ちゃんが“大学にこい”と言ってくれる。それは心配してるんだって痛いほどに伝わった。
私はあ〜ちゃんの優しさに甘えてみた。
『これでもう最後にする。あ〜ちゃん、最後にするから、最後にわがまま聞いて?』
『・・・・なん?』
電話のむこう、あ〜ちゃんの声が震えた。
『ゆかは、今、どこ?』
“出来ることなら迎えにきてよ。”
迎えに行くなら今だ。
こんな熱帯夜の夜に、あなたを思い出さないほうが無理なんだから。
最終更新:2009年05月13日 22:57