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思わず、耳を疑った。
でもその言葉は確かにゆかの中に響いて。
「なんで…?」
動揺を知られたくなくて冷静を装ったふりをした。

「いやぁ…あの、なんとなくじゃけぇ、嫌だったら話さんくていいよ」
「……」
立ち止まったのっちは恥ずかしそうに、カシカシと頭を掻いた。

…多分だけど、のっちはゆかにこういう話をするのは苦手なんだ。
それはもう一人の友達である、あ〜ちゃんにだって。
これはゆかの推測でしかないけど、のっちは独りになるのが怖いからなんじゃないかって思ってる。あくまで推測だから、確かめたわけじゃないけど。

…だから、この質問はきっと、ゆかに対する恋心的な理由からじゃないんだ、と言い聞かせた。

「…いるよ」
「へっ?」
「好きな人…」



「……」
「…そんなびっくりせんでも」
「だってなんとなくで言ったのに、まさかほんまにそうだなんて思わんもん…」

…ああ、ほら。
やっぱり、のっちにとってゆかはただの友達なんだね。

八の字になった眉を見て、ゆかの心にすっと風が吹き抜けた気がした。
少し心が冷えた気がしたから、ゆかものっちに質問してみる。
…もしかしたら、この気持ちに諦めがつくかもしれない。なんて、思いながら。
「ねぇのっち」
「ん?」
「のっちはおらんの?好きな人」
「うん…今はおらん、かな」
「…かな、って事は、気になってる人はおるん?」
「あー…うん。そうだと思うけど、はっきりとは分からん。…だってさ」
でも、この質問をするんじゃなかったと後悔した。
だって、今以上に胸が苦しくなるだなんて思ってもみなかったんだ。

「今、気になったから」


  • 続く-






最終更新:2009年05月13日 23:00