「この曲、学祭で歌うんだっけ?」
「そうそう。良い曲でしょ〜」
普段は聴かない曲だけど、あ〜ちゃんの言うとおり良い曲。
「何曲歌うの?」
「うーん、とね・・・3曲だったかな」
3曲も歌うのか〜。この曲あ〜ちゃんが歌うと、どんな感じになるんだろ。
「へー、楽しみ」
「あ〜ちゃんも楽しみ!!歌うの大好きだもん」
あ〜ちゃんは流れてくる曲に合わせて、鼻唄をうたう。
お昼休み。
あたしとあ〜ちゃんは屋上にいる。
初めて二人で屋上に行ってから、いつの間にかお昼はここで食べるようになった。
今はお昼ご飯を食べ終えたところ。
あ〜ちゃんのipodをひとつのイヤホンで、2週間後に迫った学祭で彼女が歌う曲を一緒に寝転んで聴いている。
あ〜ちゃんは軽音楽部でボーカルをやっている。
って言っても、本格的なバンド活動じゃなくて、仲の良い友達とコピーバンドをしてるみたい。
一度あ〜ちゃんに部に入るのを誘われたけど、断った。
本当は、あ〜ちゃんとは一緒にいたいからやろうと考えたけど、止めた。
あたしも音楽は好きだけど、人前で歌うって自分の性格からすると無理だと思ったから。
「そういや、うちのクラスって出し物何するの?」
「あー、のっちが来る前に決めてたから知らないんだっけ?」
「うん。知らん」
「クレープ屋さんよ」
「へー、クレープかぁ」
「のっち、つまみ食いはダメだからね」
あ〜ちゃんは寝てた体を起こして、あたしの鼻をつまんだ。
「つ、つまみふいなんてひません」
鼻をつままれてるから、ちゃんと発音出来ない。
あ〜ちゃんは笑顔で「よろしい」って言って手を放してくれた。
「学祭かー。今までまともに行事に参加するのって初めてかも」
「えっ、そうなの!あっ・・・転校いっぱいしてたから?」
そうそう、転校の時期が秋って結構多かったんだよね。
「うん。それが一番の理由だけど、あたしの性格にも問題がねぇww」
「そうよ!のっちはもっと人と関わった方がいいけ」
「うーん・・・でも、仲良くなってもすぐまた転校ってなっちゃうからね・・・」
「でも、のっちのお母さんはもう転校はないって言ってたんじゃろ?」
「そう言ってたけど、その言葉もイマイチ信用に欠けるっていうか・・・」
「えっ!!もしかしたらまた転校しちゃうかもしれんの?」
あ〜ちゃんはかなり驚いて、あたしの顔に近付いた。
急にあ〜ちゃんが迫ってきたからあたしも驚いた。
「や・・・い、今のところはその予定はないけど・・・」
「なーんだ、ビックリした〜」
ホッとしたあ〜ちゃんは近付いた顔を元の位置に戻した。
「じゃあ、今の生活を楽しまなにゃーもったいない!
そうだ!!あ〜ちゃんがのっちの為に思い出に残るサイッコウの学祭にしてあげるけ!!」
そう言ってくれた、あ〜ちゃんはすごくキラキラしてて眩しかった。
そんな眩しいくらいの笑顔をあたしに向けないでよ。
あたしの心を焦がさないでよ。
もっともっと好きになっちゃうじゃん。
「あ、ありがとう」
あたしは自分の気持ちを悟らせないように必死になってたら、噛んでしまった。
「もう、『ありがとう』くらい噛まずに言えんの?w」
あ〜ちゃんは呆れた感じで笑った。
キーンコーンカーンコーン・・・
「あっ!!予鈴だ。さっ、のっち教室帰るよ」
「はーい・・・」
あたしたちは午後の授業を受ける為、屋上を後にした。
よかった、あ〜ちゃんにバレなくて。
このままバレずに、あたしは一緒にいれるかな?
あたしはただあ〜ちゃんと一緒にいたいだけ。
あ〜ちゃんと一緒に笑ってたいだけ。
あ〜ちゃんと一緒におしゃべりしたいだけ。
あ〜ちゃんと一緒にふざけ合ったりしたいだけ。
あ〜ちゃん・・・あたしは自分の気持ちを隠して、あなたと一緒にいていいのかな?
最終更新:2009年05月13日 23:02