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学園祭準備日。
学校中がすでにお祭り気分に包まれている。

準備って言ってもあたしは何の係りをやるのか知らなかった。
クラスの皆はそれぞれの持ち場でテキパキと作業している。
しょうがないから、窓際でポツンと座っていた。

「のっちーーーーー!!!!」
廊下から大声であたしを呼ぶ声がする。
あたしはその声の主が誰なのかすぐわかったから、急いで廊下に出た。

「あ〜ちゃん!!」
今あたしが犬なら、あ〜ちゃんに思いっきり尻尾を振ってるだろう。

「のっち今何してんの?」
「な、なにもしてません・・・」

「なんでー!学祭委員の子に、役割分担言われてないの?」
「・・・うん」
今あたしが犬なら、思いっきり尻尾が下がってるだろう。

「ま、ちょうどいっか。じゃ、あ〜ちゃんと買出しに行くけぇ!!」
「買出し?」

「そ、なんかクレープにかけるチョコが足りなくなりそうだから、買って来いって言われたんよ」
「行く行く!!」
あたしは尻尾を振りながら、あ〜ちゃんに付いて行った。


業務用の大型スーパーに行く為にバスに乗る。
あ〜ちゃんと一緒に一番後ろの席に座った。

「のっち、まだ友達作れてないん?」
「うー・・・はい」

「もうこっち来て1ヶ月は経つじゃろ・・・」
「うん・・・」
てか、あ〜ちゃんがいればそれでもう充分なんだけど・・・。

「でも、あ〜ちゃんには、だいぶ心開いてくれてるよね」
「えっ!?」
ドキっとした。
どうやってリアクションすればいいかわからないよ・・・。

「だってー最初の頃の、のっち酷かったもんw」
「ひ、酷かった?」

「そうよ〜。なに質問しても『はぁ・・・』って返事だったじゃろ?」
「あ・・・そう言えばw」

「他の子には今もそうだけど、あ〜ちゃんとだけは会話が成り立ってるよねw」
意識していなかったけど、言われてみればそうだ。

「でもそれって、なんか得した気分てゆーか、妙な優越感を感じるんよね」
「えっ・・・そうなの?」
あ〜ちゃんにそんな事言ってもらえるなんて、嬉しすぎる。
ヤバイ、ニヤけないように冷静に冷静に・・・。



「うん。例えて言うなら、誰にも寄り付かない人間不信になった野良犬に、あ〜ちゃんだけが好かれてるって感じ?」
おーい・・・。
あたしは犬と同等かい・・・。ちょっと、ガッカリ。
しかもその例え、よくわからんし。
「えー、野良犬かよw」

「うん。そう言えばのっち、犬っぽいし」
「えー、嘘!?どんな犬?かわいい系?チワワ?ダックス?プードル?かっこいい系?ハスキー?レトリバー?ドーベルマン?」

「雑種じゃない?」
「雑種かよw」
ガックリ・・・。

「うん。でも前世はカエルじゃない?」
「カ、カエル?」
「うん。のっち、カエルっぽいもん」
結局あたしは前世はカエルで、あ〜ちゃんには野良犬で雑種って見られてるのね・・・。

頭の中で雑種とカエルがループしながら、買出しを終えて学校に戻ってきた。
「ごめん、のっち。あ〜ちゃんこれから軽音の練習あるけぇ。これ預けていい?」
そう言って、あたしに買ってきたチョコを全部渡した。
「うん・・・」

「なーに、そんな不安な顔しとるん」
プニってあたしのほっぺを軽くつねるあ〜ちゃん。
「さ、この機会に友達作りんさい。少しはみんなにも心開かなきゃ」
あ〜ちゃんはあたしの背中をポンって押して、パタパタと走っていってしまった。

振り返るとあ〜ちゃんはすでにいなくなってた。
それがなんだか、本当に見捨てられた野良犬の気分になった気がした。

あ〜ちゃん・・・あたしの気持ちがわかったら、あたしを見捨てる?






最終更新:2009年05月13日 23:09