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「私と付き合って下さい」
告白をされるのは、初めてじゃない。

「ごめんなさい…」
断るのも、初めてじゃない。






「そうですか…」
「ごめんね…好きな人がいるんだ」



—…1つの本当と



「じゃあ、樫野先輩と、、付き合ってるって…」



「付き合って…ないよ」





—…つき慣れてしまった1つの嘘







「のっち、また告白されたんだって?」
屋上であ〜ちゃんと昼食。
ゆかちゃんは相変わらず忙しくて、最近じゃあ、一緒にお昼を食べる事も少ない。

「はい」
あ〜ちゃんは手作りお弁当で、私は売店で買ったパン。
「いい加減、ゆかちゃんと付き合っとること言えば?」
遠くで、昼練している吹奏楽部の音がする。
「んー…」
「いやなん?」
「んー…」
「あんな告白しといて?今更?」
「んー…」
「噂にもなっとるし、丁度良いじゃん」
「ゆかちゃんがさぁ…嫌かなぁって」
「はい?」
「ゆかちゃんが、のっちと付き合っとるの知られるの…嫌かなぁって」
「…バカ」
バシッと頭を叩かれた。
「いたっ!ひどっ!」
「そんな風に思ってる人とゆかちゃんが付き合うと思っとるん」
「そうは思ってないよ…ただ、、、あ〜ちゃんみたいに受け入れてくれる人ばっかじゃないからさ…」
「!」
「のっちがいくら変だって思われても良いよ、、、げど、、さ?…ゆかちゃんまで変だって思われたくないんよ…」
「…のっち」



—…パァーン



トランペットの透き通るロングトーンが聞こえた。


ゆかちゃんはそんな事、気にしてないと思う。
むしろ、私がゆかちゃんとの事隠してるのを不安に思ってるかもしれない。



「のっちは今度の日曜日暇?」


手は繋ぐし、


「のっちはいつでも暇れすよ」


見つめ合ったりもする。

「そんな寂しいのっちのために、ジャジャーンw映画のチケットw」



デートだってする。



「おぉw行こ行こ!!」




それでも、ゆかちゃんは不安ですか?



公にしなくても、ゆかちゃんはのっちの愛をわかってくれる?







ゆかちゃんはそんな事気にしてないと思う。
だけど、確かめられないのは…
ゆかちゃんの口から、
『隠したい』なんて…
『言わないで』なんて…
聞きたくないだけ。



「じゃあね、、、」
ゆかちゃんを家まで送る。
「うん…また明日」
繋いだ手はまだ解けない。
「明日は寝坊せずに迎えに来るね?」
「ふふw良いよ。寝坊しても、またゆかが迎えに行くから」
「え?でも、あの坂、結構しんどいでしょ?」
「良いの」
「良いの?」
「うん、良いの」
「そう…」
「…うん」





……




沈黙が訪れても、なかなか離れない手がぎゅっと握ぎられ、引き寄せられた。


「今日、、、のっち告白されたでしょ?」
私の背中に腕を回したゆかちゃんをそっと包み込む。

「はい」
「でも、ゆかとの事言わんかったでしょ?」
「ごめん…」
「のっち、、嫌なの?」
「違っ!!」
「変だって思われることが嫌なの?」
「…違う、、、」

「ゆかは、のっちが手を繋いでてくれてたら、見つめてくれてたら平気だよ?」



少し離された二人の間。


優しく微笑むゆかちゃんを見たら、もう何も要らなくなった。



「言いたかったよ…ずっと、ずーっと言いたかった」

「うん」
「でも、ゆかちゃんが…ゆかちゃんが…」
「…良いよ。もう、何も言わんでも良いよ」




どれだけ抱きしめ合ってたろう…
ゆかちゃんの鼻が首筋をくすぐった。





今度はちゃんと言うよ。
ヘタレな私が出来るのは、君から不安を取り除くことだけだから…。








「ずっと、好きでした」

告白されるのは、初めてじゃない


「ごめんなさい」
断るのも、初めてじゃない。



ただ…


「他に好きな奴がいるとか?」
「…うん」



—…1つの本当が



「もしかして、樫野と付き合ってるって…本当?」
「…うん、本当」



2つに変わった。







最終更新:2009年05月13日 23:12