本当にショックな事が起きた時は逆に泣けないんだと知った。
A『……それで、いつまでなの?』
K『……はっきりとはわからない。』
A『なんで?何が原因なの?』
やけに頭は冷静で、
でも何一つ実感を持てないまま話は進んでいく。
K『原因はわかんない。』
A『嘘だ。』
困った様な、でもやっぱりね、って顔したゆかちゃん。
K『………誤作動起こしてるんだって。』
この期に及んで言葉を選んでる優しいゆかちゃん。
A『それで?』
それに比べて、まるで取り調べでもする刑事みたいに尋問を続ける優しくないあたし。
K『本来あるべきはずのないプログラムがあたしの中に発生したから…。』
A『どんなプログラムなの?』
K『……。』
下を向いて悩んでる。
A『いまさら隠されても困る。』
泣きはしなかったけど、かわりに苛立ちをぶつけた。
あたしはただひたすら自分の中で処理し切れない想いをぶつけていた。
K『あ〜ちゃんへの、……想い。』
A『……それってあたしのせい……?』
K『ちがっ!あ〜ちゃんのせいじゃ、』
A『何が違うの?!あたしに出会わなければゆかちゃんはそんな風にならなかったんじゃん!それがあたしのせいじゃなくて何だって言うのっ?!』
ゆかちゃんの言葉を遮りまくし立てた。
K『あ〜ちゃんに出会えた事、あたしは後悔してないし、むしろ感謝してるよ?』
そっと近寄って、あたしの頬を撫でるゆかちゃん。
K『泣けないあたしの変わりにこんなにも綺麗な涙を流してくれるのは、あ〜ちゃんだけだから。』
言われて初めて自分が泣いている事に気付いた。
あたしは悔しくて悲しくて下を向いて歯を食いしばる。
なんで……。
こんな事になったのっ。
あたしはどうすればいいのっ?!
誰かあたしを助けてっ。
K『ゆかはあ〜ちゃんに出会えて、あ〜ちゃんを好きになって本当に幸せなんだぁ。』
優しくいつものようにあたしを甘やかす。
K『だから出会えた事、あ〜ちゃんも悪く思わないで欲しいの。』
A『でもだってっっ!!』
下を向いて言葉を苛立ちに任せて吐き出す。
K『確かに、あ〜ちゃんを好きにならなければ、動き続けていられたかも知れないよね。でもね?』
ゆかちゃんの両手があたしの頬を捕らえる。
K『こんなに幸せな気持ちも知らないまま、ただ動き続けている事があたしに取って幸せだったなんて思えないの。』
強引に上を向かせられたけどゆかちゃんの優しい瞳が今は痛くて視線を合わせられない。
K『あ〜ちゃんへの想いで人らしくなれたんなら、そんな幸せな事はないんだよ?』
A『……でも。』
K『うん。約束は果たせないけど。あ〜ちゃんをこんなに悲しませてしまったけど……。』
言いながらおでこを引っ付けてくるゆかちゃん。
やめて、涙が止まらなくなるから。
K『あたしはあ〜ちゃんに出会えて本当によかった。ありがとう。あたしにこんなにたくさんの幸せをくれて。』
ゆかちゃんの唇があたしの唇にそっと重なる……。
いつもの様に優しいキスに胸が張り裂け、涙が止まらない。
泣きながら交わす口づけは涙の味しかしなかった。
あたしが残された時間で出来る事、ゆかちゃんにして上げられる事なんか一つもないのに、
ゆかちゃんは変わらずあたしに優しい。
出来る事ならあたしが先に終わりを迎えたい。
ゆかちゃんのいない世界に生きてく自信がないよ……。
ゆかちゃん、あたしを一緒に連れて行って下さい。
あなたのいる世界へと。
(続く)
最終更新:2009年05月13日 23:20