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残されたわずかな時間。

最後の時がいつ来るのかわからない恐怖を抱えたまま、あたしはゆかちゃんと暮らしている。


今まで以上に甘く穏やかな蜜月をあなたと過ごしてる。




あたしに出来る事があるならば、
それは今を後悔しない未来を迎える事しかないから。

……ゆかちゃんのいない未来なんて意味ないのにね。



K『あ〜ちゃん、今日も一緒に寝る?』

ニコニコしながらあたしに愛を与えてくれる。
そんな存在を失う恐怖があたしを常に攻め立ててる。
でも、貴重な時間を無駄にはしたくないから。

少しでもあなたを刻み込むために恐怖を飲み込み普通を装う。

A『うん。もちろんっ!』
K『ふふふ、なんでどや顔なのぉ〜。』


ゆかちゃんも何事もなかった様に振る舞ってるけど、
怖くないの?

あたしは少しでも気を抜いたらきっと泣いてしまう。

怖くて怖くて仕方ないよ、ゆかちゃん。


ベッドに潜りこんでゆかちゃんに引っ付いて眠るのが、
こんなにも辛いなんて思わなかった。

でも、離れてなんていられなくて。


K『大好き、あ〜ちゃん。』
A『あ〜ちゃんも……、大好きっ。』

縋り付くように強くしがみつき、悲しみをやり過ごす。

夜が明けなければいいのに。
朝がこのまま訪れなければ時間は流れていかないのに。


眠らない時間をもとめても、現実は残酷に時計の針を進めていくんだね。


そうねえ愛して
遠くにいたくない
わずかな時間がせつなく過ぎてく。



想いを踏みにじるように朝日が誇らしげに昇り、今日も一日が始まる。


重たい体と心をムリヤリ動かしてベッドからはいずり出てゆかちゃんの姿を捜すと、
彼女は台所で朝食の準備をしていた。

それはとてもありふれた日常。


K『あ、おはよう、あ〜ちゃん。』
A『おはよう…。』

ダメ。
泣いちゃダメ……。


K『ねぇ、今日どっか出掛ける?』
A『うん。どこか行きたいとこある?』
K『ゆかねぇ、この前お花見デートした公園行きたいなぁ。』


幸せな思い出があたしに深く突き刺さる。

A『……じゃあまたお弁当作ってくれる?』
K『もちろん!あ〜ちゃんの大好きなものだらけの特製ゆか弁当作っちゃうもんねっ!!』

嬉しそうなゆかちゃん。

A『へへ、嬉しいなぁ。』

嬉しそうに振る舞うあたし。

ねぇ……?
あたしはちゃんと笑えてるかな?



K『じゃあさぁ、早く出掛けようよっ!』
小さい子みたいにキラキラしてるゆかちゃんが眩しすぎて涙で視界が滲む。

A『朝ご飯くらいゆっくり食べさせてよぉ〜。』
K『仕方ないなぁ〜。』
A『いやいや、仕方なくないからっ。』

笑い合うあたしたちはいつもと変わらなくて。



本当に終わりなんて来るの?



質の悪い嘘だったならどれだけ幸せだろう……。




あたしたちだけの時間はあっという間に過ぎていく。


(続く)






最終更新:2009年05月13日 23:24