…あれ?正門の所にいるのって、もしかして…。
「のっち…?」
「あ、ゆかちゃん」
「先に帰ってたんじゃ……も、もしかしてずっとゆかを待ってたの?」
「うん」
「ばかっ。もしゆかが裏門から帰ってたらどうするんよ…」
「うーん…ずっと待ってたかも」
のっちは眉を八の字にして頭を掻いた。
…ばかのっち。帰宅部なのに。
ゆかの事ずっと待ってたなんて、嬉しすぎてどんな顔していいか分かんないじゃない…。
「へへっ。そんな事より帰ろうよ、ゆかちゃん」
「…うん」
そして、あったかい手がゆかの手を引く。
うっすら暗くなった道を歩きながら、ゆかはこっそり隣を盗み見た。
…どうしよう。
繋がれた手は嬉しいけれど、ドクドクと高鳴る鼓動が伝わってしまいそうで。
でも離したくない。
だけど離して欲しい。
相反する思考に、頭がパンクしそう。
「…着いちゃったね」
「うん…」
目の前にはゆかの家。
…すっと離れたのっちの手に、心が追い掛けた。
「…え?」
思わず掴んだブレザーの裾にのっちが振り返る。
「あ…っ、ご、ごめんっ」
パッと手を離したけどもう遅い。
「ゆかちゃん…今」
「ち、違うんよ!今のは」
なんとか言い訳しようとするゆかの腕を、のっちの手が掴んだ。
「今のっちの事引き止めようとしてたんじゃ」
「ち、違うの!その…っ、た、たまたま掴んじゃっただけなんだから!」
「ゆかちゃ」
「お、おやすみ!」
何か言いたげなのっちの手を振りほどいて家に駆け込んだ。
玄関にずるずるとへたり込む。
「……ゆかのばかっ。今ので絶対気付かれたよぉ…どうしよう…」
そしてその日の夜、一睡も出来ずに朝を迎える事になったのでした。
最終更新:2009年05月13日 23:39