アットウィキロゴ
サイドN


降り止むことをしらない激しい雨に打たれても平気だった。
まるで雨なんか降ってないみたいな錯覚をおこして、私は走った。
途中のカーブ、足元が緩んだ砂利の上、ど派手に転んだ痛みすら忘れるくらいに走った。
タイムを計ったら自己新が出るくらいの早さだった。
立ち止まった駅の北口から、あなたを見つけた駅の南口まで、
踏み切りを越えて、もうすぐそこは南口。
あなたを見つけた南口。
早く、、
早く、早く、早く!!
この足よ、もっと早く動け!!なんて思いながら、
辿り着いた
あなたを見つけた南口。
突然の雷雨の中
あなたを見つけた南口。





辿り着いた
あなたがいない南口。




サイドN




辿り着いた南口にあなたはもういなくって。
さっきまであんなに早く動いていた両足は、
まるで鎖につながれているかのように動かなかった。
それでも雨はやまなくて、
打たれ続けた体は冷えきっていた。
さっきまで全然平気だったのに、
ど派手に転んで擦った手のひらと右頬が痛い。
ほんの5分もしないうちに来たのに、、。
『っつ、、どこっ!!』
まわりを大げさに見渡すけど、
やっぱりあなたは見つからなくて、
遠くに見えるタクシーのブレーキランプが、無性にイライラした。
もしかしたら、あのタクシーに乗っているかもしれない。
どう考えても、追い掛けたところで追い付かない距離にあるタクシー。
動かない両足と、痛みを伝える体は意志とは裏腹に、
その場にしゃがみこんだ。
しゃがみこんだというよりは、崩れ落ちた。
さっきまであなたがいたはずの南口。
細い柱に背を寄せて、
私は崩れ落ちたまま、動けなかった。
なんでこんなに冷たいんだろ?
あ、雨降ってんだ。
当たり前か、、。
こんなに辛いのに、
こんなに痛いのに、
それでも雨はやまない。
泣きたいのに泣けない私のかわりなのかもな。
どしゃ降りの雨はやまない。
私は動けないまま、
雨がやむことと、
あなたに会えることを願った。






最終更新:2009年05月13日 23:55