トクトクと伝わる鼓動と優しくてあったかい体温。
…のっちの腕の中にいるの、夢みたい。
「はぁ…なんか、夢みたい」
少し上から耳元に降ってくる、のっちの声は少し震えていた。
「…ゆかも、おんなじ事思った」
「ふへへっ、なんか嬉しい…あーもう幸せ!」
「ひゃ、ちょ…ほっぺスリスリせんで…くすぐったぃ」
「うりゃー」
「こらっ、もぉのっち……」
ぴた、と頬をゆかの頬に引っ付けたまま、のっちが動かなくなった。
「…?のっちぃ?」
ゆかの頬に伝わる生温い何か。
…もしかして、のっち泣いてるの?
「のっち」
「ごめ…なんでもない。…へへ、のっちってばかっこわる」
「ねぇ、見せて」
そっとのっちの頬を両手で包む。
ふるふると横に振られる髪が当たった。
「お願い、のっち…」
「………ずるい、よ。ゆかちゃんは」
くっついてた体に少し隙間が出来て、ようやくのっちを確認する。
静かに流れる涙をブレザーの袖で拭ってあげると、照れ臭そうにのっちが笑った。
「なんか。ゆかちゃんの事、すごい好きだなぁって思ったら…ぶわーって気持ちが溢れちゃって、止まんなくて…」
「…、」
「……ふっ、ゆかちゃんだって泣いてんじゃん」
「!…ちが、これは泣いてるんじゃにゃぃ…も…」
「ふへっ、ちゃんと言えてないし」
次から次へと溢れてくる涙でのっちが霞む。
…でも霞んで見えないけど、優しい手がゆかの頬を包んで、そっと細長い指が涙を掬ってくれてるのが分かる。
「可愛い。好き、大好きだよ」
「…うん」
「ゆかちゃんの全部が好きだよ」
「…ゆかも」
…あ。嬉しそうに笑ってる。
と、思ったら近付いてくる真顔ののっち。
「好きだよ」
その言葉を合図に、そっと目を閉じると重なる唇。
初めてのキスはとても優しくて、そして少し渇いた唇の感触がした。
最終更新:2009年05月14日 00:20