のっちは割りとお酒に強い。
いや、強いというよりは私よりはお酒に慣れてると言った方がいいかも。
そりゃ、半年近く早く彼女の方が大人になったのだから当たり前のことなんだけど。
でもなんだか、お酒を飲んでるのっち、、、なんかナマイキじゃ。
打ち上げとかの飲み会で飲んでる時はまだいい。
私もゆかちゃんも飲むし、何よりあの飲み会の雰囲気が好き。
だけど、、
今はのっちの部屋。
仕事が早く終わってそのまま帰ってごはんを作って食べた。
私が片付けをしている間にさっさとシャワーを済ませてきたのっち。
そして、タオルを首にかけた彼女が冷蔵庫から出してきたのは缶チューハイ。
「あ〜ちゃんも飲む?」
「いらん」
「えー、おいしいのに」
プシュッ
「っったはぁー!!うまし!」
まるでお風呂上りにビールを飲むお父さんじゃ。
「のっち、、おっさんくさい」
「やー、でもこのプシュって開ける快感と、しゅわしゅわしゅわ〜っていう喉越しが」
「あ〜ちゃんシャワー浴びてくるけぇ」
熱弁し始めたのっちを置いて、浴室へ向かう。
未だにお酒には慣れない。
鼻の下がむず痒くなるようなアルコールの匂いと喉がやけるような感覚は好きになれない。
だいたい、のっちも大人通りこしておっさんになっちゃってどうするんよ?
仮にもアイドルなんよ?まったく。。
部屋に戻ると、のっちの姿が見えない。
と思ったら、ソファーに仰向けに寝転がって鼻歌を歌っていた。
スラリと伸びた長い手足はソファーからはみ出て放り出されてる。
テーブルの上には2本の缶チューハイ。
「のっち、明日も仕事だよ?」
「♪〜♪〜」
返事はない。
のっちは、たまにこうなる時がある。
家でお酒を飲んだあと、宙を仰ぎながらよく分からない鼻歌を奏でる。
楽しいのか、おもしろいのか、悲しいのか、寂しいのか、いつもその時の彼女の表情からはなにも感じ取れない。
それに少なくとも私は少し寂しさを覚える。
未だお酒には慣れない。
お酒を飲んでヒトリの世界に行ってしまうのっちにも慣れない。
「ねぇ、のっち。。」
あ〜ちゃんのことを見てよ。
ここにいるんよ。
「ねぇ、、」
あ、やばい。
泣いちゃいそう。。
鼻歌が止まったと思ったら、のっちが優しい声で言った。
「おいで?」
左手を広げて、右手でクイクイっとtake me take me。
ズルイ。
そんな優しい声で誘われて、断れるはずがないのに。
「もう、、なんよ。。」
そっと、ソファーに近づくとゆっくり彼女の胸元に倒れこむように引き寄せられた。
そのままギュッと抱きしめらたら、のっちの匂いに混ざって柑橘系のリキュールの匂いがした。
「のっち?」
「月が、キレイじゃね」
彼女の視線は窓の外のおおきな満月。
「月なんか見んくてええ・・・」
のっちの肩口におでこを宛てて、のっちの匂いだけをを思いっきり吸い込んだ。
いつもよりも少し高い体温に包まれて、私の体温も上昇する。
未だお酒には慣れない。
のっちに酔うのもいつまで経っても慣れはしないね。
「今日のあ〜ちゃんは甘えたさんじゃねぇ」
のっちの右手があやすように頭をポンポンと叩く。
「そんなことないけぇ・・・」
「じゃぁ、のっちが甘えたさんになっていい?」
今度はのっちが私の胸元に顔をうずめた。
「やわらかぁ〜いwふかふかw」
胸に顔をうずめながら、無邪気に手も這わす。
その手つきは無邪気なんかじゃない、確信犯。
「ちょ、、のっ、、」
「だって、気持ちいーんらもん♪」
相変わらず、無邪気な笑顔のままで、確信犯な手がパジャマの中に進入していく。
「・・・・んっ、、」
服の中に入った手が、、、
止まった?
「・・・・のっち?」
「すー・・・・」
胸元に顔を埋めたまま、素肌に手を回したまま、、、寝てる?
「・・・ありえんわ、ほんま、、」
動こうにも、がっちり抱きしめられてて動けない。
はぁ、と小さくため息を吐いて、胸元にあるのっちの頭を撫でる。
窓の外には彼女がキレイだと言った月が見えた。
まん丸くて黄色に光るそれは確かにキレイだ。
だけど、その月を見上げたてた彼女の顔の方がキレイだったなんて、口が裂けたって言ってあげない。
お酒に酔うくらいならもっとあ〜ちゃんに酔えばいいのに、なんて、絶対言わないんだから。
はぁ。
もう一度ため息をついて、火照ってしまったからだの熱をやり過ごす。
ちゃっかり背中に回った手。
憎たらしい子供みたいな無邪気な寝顔。
気持ちよく酔っ払って、そんな顔で寝て、、一体どんな夢を見てるんだか。。
なんだか無性にムカついて、柔らかいほっぺたをむに〜と抓ってやった。
「ん、、むにゃ、、・・ナイスおっぱい・・・・」
「・・・・こんの酔っ払いがっっ!!」
翌日、ほっぺたを腫らせて仕事に向かうのっちの姿があったとか、なかったとか。。
おわり
最終更新:2009年05月14日 00:25