———現在【㈯】
「精巧な機械になりたい。」
「なにいってんの?
そんなの、無理だよ。」
「そっか、ならこんな命いらない。」
ぱん。
どくどくどく。
へ、ゆかちゃん今なにした?なんで血、流れてるん?
え?
<<<リプレイ
→YES
NO
———2年前【㈪】
行く年来る年行く年来る年。
いっそ、いったまま年なんか帰ってこなきゃいいのに。
退廃的なことを言う間もなく日々は過ぎて、またひとつ歳をとる。
「わー、おめでとお。」
彼女は薄笑いを浮かべて私をみる。
「めでたいかねぇ。
単にむだに年とっただけな気がするけど。」
「いいの!それがめでたいの!」
本当にそうかと握っていたグラスを弄ぶ。
誕生日が楽しかったのなんて、何年も前のことだ。
彼女は私の気を知ってるのかしらないのか、ズボンのベルトを緩める。
ああ、本当はこういうの、好きじゃないんよ。
「不幸な子供でも一人できれば、ゆかたちもなんかかわれたかな?」
彼女は物騒なことを言いながら、Tシャツを脱ぐ。
スキップ
→そうする
やめとく
———数ヵ月後。【㉃】
さむい。
だるい。
ねむい。
三重苦。
『そんなんのっちがかってにやってることやけぇ、しらん。』
「いいの。
ゆかちゃんのためなんよ。これでも。」
『ゆかそんなこといってない。
かってだよ。かって。
それともそんなにこっちにきたいの、のっち…。』
白い。
狭い。
遠い。
かなわないなぁ、まだつかない。
てっぺん、どこ?
ほね、重たい。
『そんな苦労してどうすんの?』
「ちょっと黙っててよ。私はね、ゆかちゃんができんかったことをするの。
この目でゆかちゃんがみれなかったもんみて、一人で楽しむんだ。
ゆかちゃんはそれをこの中でみるの。
絶対にみせたげない。」
『のっちのそーゆーとこ、まだかわってないんだ。
人でなし。』
「うるさい。」
行けども行けどもてっぺんは見えない。
でもどうしようもないから、進む。
ターン<<<
→しとく
やめとく
———今【㉀】
「なんて、うそ。」
と、思った。
「今回のは誰の入れ知恵なん?
あ〜ちゃん?それにしちゃ、ちょっとタチ悪くない。」
「ちがうよ。」
ふんふんふん。
彼女は歌いながらべたべたになった血のりをぬぐう。
あぁ、ぐちゃぐちゃだ。なんでこういうことするのかな。
結局つきあってもよくわからない。
ゆかちゃんのこと。
「のっち、ゆかのこと好きじゃないでしょ。」
「だったら、どうする?」
所詮すべて、フモーなこと。
<<<リプレイ
→巻き戻しとく
早送りしとく
———二年と少し前【㈰】
「のっちってさあ、どっちかっていうとやっぱかわいいよね。」
「うるさい。」
言いつつ、内心はうれしかった。
昔っから、かっこいいなんて言われるより、かわいいって言われるのが好きだった。
「けど、ふとしたときにみるとかっこいい。」
言葉につまって目をうろつかせると、彼女は意地悪く笑った。
「ねえ、のっち、ゆかのこと好きでしょ?」
その頃の私は男にも女にも抱いたり抱かれたりしてて、彼女のことは好きだった
けど、なんか違う感じで。
うまく言えないけど。
「ねえ、付き合ってよ?」
「けど…。」
ゆかちゃんとはキスもセックスも出来ない、って言ったら怒るかな。
「のっちのそういう煮えきらんとこ、ほんとにかっこいい。」
スキップ
→見とく
とっとく
———やっぱり数ヵ月後【㈹】
「なんだっけ、あの歌。
私たちがまだ小さかった頃はやった。」
『どこまでもー、かぎりなくー? 』
「そ、それ。
ふりーつづくゆーき。」
『その後はなんでうたわないの?』
「必要ないから。」
『うわー。ほんっと最低。』
雪、雪、雪。
白、白、白。
さすがになめてたかも。
いきなりこんなとこ来て、こんなことして。
第一あれだよ。
苦労しててっぺんついても、何もみえないかもしれなくて。
あー、くだらない。
『無計画のアホは、嫌いじゃないよ。』
「ゆかちゃんに好かれても意味ない。」
『嬉しいくせに。』
「うるさい。
…嬉しかったよ。
だから一緒にいたんじゃん。
ほんとのこと言う人は、すきじゃない。
…いや、嘘。
すごい好き。」
だから、少し後悔する。
結局キスも、セックスもなにもしなかった。
真似事は何回もしたけど、最後までは何も出来なかった。
ねえ、ゆかちゃんは最後の日々を私と過ごしてよかったの?
何で、私だったの?
「…都合の悪いときは、だまるんだね。」
ターン<<<
→いこうか
やめとこ
———また今【㈷】
「じゃあ、のっちが寝てる間に上にでもまたがってみよ。」
「そういうの、すきじゃない。」
「のっちの我儘聞いてたら、ゆか、こっからいなくなっちゃう。」
「意味わかんない。
何?今度は本物のテッポーでも用意する気?」
「ヒントは、今のゆかに隠されている。
わかるかな、明智君。」
「コゴローなんて趣味の悪い名前の奴には負けたくないなぁ。」
フモーなら、ほーさくになるよう我慢すればいいのかな?
そんなんで何か、いいことあるんだろうか。
目の前でぺたぺた血を拭い続ける彼女のちんまりした背を見る。
なんの欲もわかない。
がっちりして、ごつごつした背が懐かしい。
きれいにネイルが施された、細い指をしゃぶりたい。
でも、目の前のちまい背は好ましくて、愛しい。
CONTINUE?
YES
→NO
———1年前【㈫】
「あふ、あふあふ。」
「それ、咳?」
「ううん。
よっきゅーふまんの音。」
「意味わかんない。」
つきあいはじめてからそろそろ一年半。
最近彼女はむだにあふあふいってる。
咳なんだろうけど、ほんとうはどうなんだか。
ただ、思い出したようにあふあふ、あふあふ。
「のっち、キスもしないんだね。」
「言ったじゃん、無理かもって。」
「乙女じゃないんだから。
恐いん?」
「生々しぃことは嫌い。」
「ふーん。」
私は嘘つきだ。
男に抱かれて女に舐められて喘いでたくせに。
生々しいこと、何よりも好きなくせに。
あふあふ、また彼女が後ろで咳をした。
STAY?
するよ
→しないよ
———半年前【㈬】
「オーロラ、見たいんよ。
もっと正確に言うと、国境の北の方のオーロラの果てをみたいん。」
「誰かの曲のタイトルじゃなかった、それ。」
「いいじゃん。
その場所で、その曲を聞くの。
きっと、楽しい。」
「ふーん。むりなんじゃない。」
「何でそうやってゆかのゆめこわすの?」
「いや、ほんとのこと言っただけで。」
「いじわる。」
「そんなこと言うくらいなら、その妙な咳と体調をどうにかしなよ。」
「そんなのしらない。」
彼女の調子は悪くなる一方で。
咳はあふあふからごふごふになって、しかもぜえぜえ忙しなく息をするようになった。
夢を語るのはいいことかもしれない。
でも彼女のは、なんていうか、まるで。
気付いてあげる?
もちろん
→ほっとく
———やっぱりまた数ヵ月後【㈺】
「オーロラなんて見えるのかな。」
『しらなーい。
ふだんの行いがいいとみえるんじゃない?』
「うわぁ。
のっち、ぎりぎりじゃない。」
『自覚あるんだ。』
「人なみには。」
天候はいいようでわるいようで。
こんなに沢山お守り持ってきたんだけどな。
晴れますように、って。
カミサマも滅多に祈らない奴がこんなことするから、戸惑ってるのか。
なら、今日だけでいい。
お願い、聞いて。
あの時は聞いてくれなかったでしょ?
だから。
<<<リプレイ
→またですか
やめますか
———3ヵ月前【㈭】
「ねえ、体のパーツとか機械にできたりとかしないの?」
「まあ、話としては聞いたことあるけど。」
「いくら?」
「は?」
「よくない、こわれないカラダ。」
「あのね。いくら調子わるいからって、そんなこと言ってる場合?」
「めっちゃまじめよ。」
「アホくさ。」
言ったら、だらだら涙が零れてきた。
彼女が本気なのが悲しかった。
それを冗談だと笑い飛ばせないほど弱った彼女が悲しかった。
「ねえ、そんなに不憫だと思うなら抱いて。」
「それは…。」
「なら他の誰かとやってきてもいいの?」
「それも…。」
「ねえ、のっちにとってゆかは何? 彼女? それともお給仕さん?
ゆかにも感情はあるの。 いつまで宙ぶらりんのまま、そばにおいとくつもり?」
返す言葉はなかった。
私だって正直、いつか彼女にこうやってなじられるかな、って思ってた。
でも仕方ない。
「意気地なし! ひとでなし! 嘘吐き!」
「…。」
「一つくらい否定してよ!」
それはどうしても無理だった。
ぜんぶ、ぜんぶ本当のことだから。
変なとこだけ嘘がつけない、昔から。
スキップ
———またまたまた数ヵ月後【㈱】
まだ、つかん。
空も崩れてる。
周りも雲に囲まれてるし。
『のっちほんとにろくなかとしてこなかったんだね。感心するわ。』
「うるさい。ゆかちゃんつきだからでしょ!私一人なら、たぶんはれてる。」
『そうかも。』
「ち、ちがうから!冗談だって。本気にしないでよ。」
てっぺんまでは後ちょっとのはずだった。
けどここにきて、高度が私たちを邪魔する。
100メートルあがるのに、30分もかかるなんて思わなかった。
ああ、しんどい。
そうやってため息をついた丁度その時、急にぱっと雲が切れて、目の前に一面の
荒れ地が広がった。
『ついた?』
「そうなの?」
『しらない。
なんできちんと予習してからこんの?』
「しかたないじゃん。
時間がなかったの。」
よくわからないけど、てっぺん、着いたみたい。
にしても、オーロラなんて見えるんだろうか?
さっぱりわからない。
<<<リプレイ
———1.5ヵ月前【㈮】
「病院、いかないの?」
「言ってるでしょ、私は病気じゃない。」
「ゆかちゃん、のっちが知らないとでも思ってる? 血でどろどろになったシャツ。」
「せーり。」
「あのね。 一体どんな体してんのよ?」
「生でみてみる?」
「いい。」
彼女はがりがりになって、食事も食べなくなった。
心配になった私は、なんとかして彼女を病院につれて行こうと頑張って、彼女は
どうにかして病院にいかないように頑張ってた。
もう、だいてとせまる元気もない。
私はただただ自分が無力だと思い知らされた。
ねえ、同情みたいなもんで抱いてもいいの?
その程度で、良くなるんなら、私は。
私は…。
やっぱり無理。
どーしよもない、ばかだ。
スキップ
㈾
———またまたまたまた数ヵ月後
「ちゃーんと、持ってきたんだから。CDプレーヤー。」
『おくれてる。いまの時代はmp3でしょ。』
「甘いね。私は職人肌だから。音質とかこだわりがあるの。」
『そりゃシツレーいたしました。』
「…動かん。」
『は?』
「だから、動かん。へ?なんで?高度高いと電池とか切れるん?」
『単なる電池切れでしょ!のっちなんでそうやってツメが甘いの?』
「ちょ、ちょっと待って!今直す。」
サイテー。何でこんな時に壊れるん?
アホなのは私だけで充分なのに。まさか持ち主に似たとか…。
『今回ばかりは救いがたいね。よくゆかも愛想つかさないよねぇ。』
「否定する気にもなれんわ。ごめん。」
『…のっちのその気持ちがゆかはいちばんうれしいんよ。』
思わず涙腺が緩みかけて、悔しいから空を見上げた。
「あれ、もしかしたらオーロラじゃないのあれ?」
『この中じゃ見えるわけないでしょ…。』
「そりゃそうか。ほら、開けるから。みてみ?」
『あのさあ、ふつうならここにおいてったりするんじゃないの?』
「嫌。
のっちの傍にいなさい。」
『イマサラだね。』
「イマサラだけど何か。」
『ふん、ふふふん、ふーん。』
「何です?急に。」
『プレーヤーの代わり。』
「そりゃどうも。」
歌い続ける彼女にオーロラはきちんと見えてる?
国境の北、オーロラの果て。
そこには確かなものは何もなくて、漠然とした情だけがあった。
それがいいか悪いかなんて、誰にも解らない。
『ありがとう。』
ターン<<<
———ようやく、今【㉂ 】
「まさか銃だけに、ガーンとか?まさか。ベタ過ぎ。」
私は彼女のかたわらにほっぽってあるおもちゃを指差してわらう。
なのに。
「惜しい。」
「へ?」
「途中ののばし棒、いらないんだな。」
「ガン?…がん。癌?」
「イデンセーだって。もう肺がずたずたらしい。」
「嘘だ!」
初めて抱き締めた体は冷たかった。
END
YES
→CONTINUE…?
最終更新:2009年05月14日 01:38