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学祭の翌日。
あたしたちが閉祭式を、サボったことが担任にばれた。
学食1000円分の食券と引き換えに、原稿用紙一枚分の反省文を書く羽目になってしまった。
他の生徒は学祭の後片付けだけどあたしたちは、職員室の隅っこで反省文を書かされてる。

「こうなったの、あ〜ちゃんのせいじゃん・・・」
あたしはこんな状態になった不満を、冗談っぽくあ〜ちゃんに言う。
「えー?なんですかー?聞こえませーん。空耳?w」
あ〜ちゃんも冗談っぽく返す。

「コラ!!静かに書け!!」
学校一怖い学年主任に怒られて、シュンとするあたしたち。
「ほらー・・・怒られたの、のっちのせいじゃ」
「えーー!!なんでー?」
うるさくして、また学年主任に睨まれる。

「でーきた!!」
「え?もう?」
「うん。のっちまだ書けてないん?」
「・・・はい」
「ふーん・・・ま、頑張って!!」
そう言って、あ〜ちゃんは反省文を提出して出て行ってしまった。
結局あたしが書き上げたのは、もう学祭の片付けが終わりそうな頃だった。

教室に戻ると、あ〜ちゃんの姿はなかった。
あたしは心当たりを探しにいく。

心当たりと言ったら、あそこしかない。
一目散に屋上へ向かう。
階段を駆け上がると声が聞こえた。

「西脇先輩、呼び出しちゃってすいません」
「いいんよ。なに、話って?」
むむ?どうやら一年生とあ〜ちゃんが話をしているみたい。
あたしは、ふたりから見えない角度で立ち止まる。



「学祭のライブすごくかっこよかったです!!」
「ほんま?ありがとう」

「・・・で、そのライブ見て、、、先輩の事、、、好きになりました・・・付き合って下さい」

えぇぇぇーーーーーー!!!
こ、告白!?
あらら、盗み聞きしちゃった。

ライブのあ〜ちゃんはかっこよかったもんね。
あれは誰が見ても惚れちゃうよね・・・。
あたしも惚れ直したって感じだったもん。

あ〜ちゃんは、何て返事するんだろ?
まさか、OKしたりとかしないよね・・・。

「ありがとう。気持ちは嬉しいんじゃけど・・・今、好きな人がおるんよ」
「あ・・・そうなんですか。分かりました。今の忘れて下さい。すいませんでした!!」
一年生はバタバタと走って去ってしまった。

あ〜ちゃんがOKしなくてホッした。
けど、あ〜ちゃんに好きな人がいるなんて初耳。
てか、あ〜ちゃんに好きな人がいるなんて思ってなかった。
冷静に考えたら、あ〜ちゃんにも好きな人くらいいるよね・・・。

あぁ・・・なんだろ、この気持ち。
あたしが告白した訳でもないのに、フラれた気分だ。

「のっち?」
あっ、あ〜ちゃんに見つかっちゃった。
「あ・・・ども」
どういう態度をしたらいいかわからず、他人行儀になってしまった。

「聞いてたん?」
「・・・はい」

「どっから?」
「たぶん、最初から・・・?」

あ〜ちゃんは少し困った顔をして、
「・・・まっ、いっか。これで、おあいこじゃけぇ」
って、言って制服のポケットから屋上の鍵を取り出して、扉を開けた。
あたしはその言葉の意味がわからず、あ〜ちゃんの後に付いて屋上へ行った。


あ〜ちゃんは壁に寄りかかって座る。
あたしも隣に座る。
「おあいこって、どういう意味?」
「あぁ・・・」
あ〜ちゃんは足を伸ばして、足首を左右にパタパタ動かしてる。

「実は・・・あ〜ちゃんも見ちゃったんよね。一昨日、のっちが木村さんに告白されてるトコ・・・」
「・・・嘘?」

「ほんとよ〜。ふたりで焼きそば食べてたでしょ?」
「あ・・・うん。食べてた・・・」
見られたくなかったな・・・。
知られたくなかったな・・・。

「のっち、好きな人おったんじゃね・・・」
そうだよ。
いるよ。好きな人。
目の前にいるよ。あたしの好きな人は。
でも言えないよ。あ〜ちゃんが好き、だなんて・・・。
もしここで言っても、100%叶わない恋。
だって、あ〜ちゃんには好きな人がいるから。
そもそも、あ〜ちゃんに好きな人がいなくても、100%叶わない恋。
それをわかってるから、言えないよ。
告白も失恋も怖いんだ・・・。

「・・・う、ん」
だからこんな返事しか出来ないんだ。

「そっかー・・・好きな人いるんだ」
「そういう、あ〜ちゃんだっているんでしょ?」

「うん。いるよ・・・」
本当は告白を断る口実だったらいいなって、心のどこかで思ってたけど、肯定されちゃった。
自分で訊いといて、なに傷ついてるんだよ・・・。
あ〜ちゃん、本当に好きな人がいるんだ・・・。

「なんか、のっちと恋バナするの、初めてじゃない?」
「そうだね・・・」
「なんか、変な感じせん?」
「そうだね・・・」
「そろそろ戻らんとね?」
「そうだね・・・」

「のっち、さっきから『そうだね』しか言っとらんw」
「そうだね・・・あっww」

あたしたちは、それ以上お互いの好きな人の事を詮索しなかった。
あたしは、ただ知りたくなかったから。
あ〜ちゃんの好きな人なんて知りたくない。
知ったらまた余計に、気分が落ち込むだけだと思ったから。

あぁ、あ〜ちゃんに想われてる人が羨ましい。
どんな人だか知らないけど、その人は世界一幸せな人。

あ〜ちゃん・・・あたしもあなたに、想われたいって口に出したら、どうおもう?






最終更新:2009年05月14日 01:40