サイドK
やっぱりのっちの優しさは永遠になくならない。
不器用で、無愛想だけど、
いつもゆかのことを一番に考えてくれてる。
それが目にみえてわかる。
ちゃんと伝えてくれるから。
だからゆかも、いつまでも甘えていられるんだ。
のっちが探してくれる。
のっちが見つけてくれる。
のっちが迎えにきてくれる。
甘えられるところ、全部甘えて、
全身で寄り掛かっていたいの。
ちゃんと支えてくれるの知ってるから。
照れながらも
一緒にお風呂に入る。
『あんま、見んな。』
やたらと恥ずかしがってたのは、ゆかよりのっち。
ちょっと笑える。
『おい。笑うな。』
笑いながら言ってくる。
『自分が笑ってんじゃん!』
『・・・早く、はいろ。』
急に手をとるから、
びっくりするじゃない。
冷えきった体を暖めるために、
すぐに浴槽にはいった。
入浴剤で白くなったお湯とライトが、
彼女の綺麗な横顔を
より一層綺麗に演出した。
『あっ・・・傷・・・』
彼女の綺麗な横顔に、
彼女の綺麗な右頬に、
薄い赤色の擦り傷が見えた。
『あ、あぁ。』
頭をガシガシ掻きながら、罰が悪そうな顔をしてる。
『どうしたの?痛い?大丈夫?』
そっと傷に手で触れた。
思ったより彼女の綺麗な横顔は冷たかった。
『うわ。質問攻め。』
笑いながらはぐらかすのっち。
『どうしたんよぉ・・』
薄く血が滲んでる傷を見て痛々しくて、泣きそうになる。
『・・・こ、ろんだ。』
『えっ??!!』
『走って転んだ。それだけ。』
恥ずかしそうに頭をガシガシしながら、
視線をそらして笑いをこらえて話すのっち。
だけど、
それってゆかのため?
ゆかのための傷?
そう思ったら
また涙出そうになった。
『あー泣かんで。大丈夫だから。痛くないし。』
そんな私を察したかのような優しい言葉。
優しく傷を撫でた。
『いっ!!』
『痛いんじゃんw』
『いやいや。』
『涙目w』
『いやいやw』
『笑っちゃってるじゃん!!w』
『いやいや。大丈夫大丈夫。』
『・・・ありがと。』
『・・・いやいや。』
『・・・早く治るといいね?』
『うん。』
『・・・ごめん、ね?』
『うん。あっ、いやいや。』
『ふふふっ』
『うん。大丈夫大丈夫。早くカサブタにでもなればね。』
『・・・カサブタ・・・』
サイドN
『どしたん?』
『・・・ん?あぁカサブタね』
『へっ??』
『あれ?なんだっけ?w』
『ぼーっとしてた?』
『・・・少しw』
『タイミングおかしいだろ。』
二人して笑って、
白いお湯がゆれる。
『カサブタがって言うから・・・さ・・・』
『へっ??』
『ふふふっ』
『な、なんだよ。』
『へっ??だってw』
『・・・む、、』
『む、、ふふふっw』
『真似しなくていいから。』
二人して笑って、
白いお湯がゆれる。
たまらなく愛しくて
彼女の体を後ろから抱き抱えるように誘導させた。
『ゆかもね、、』
『ん?』
彼女の腰に腕を回して左肩に顎をのせた。
細い肩から滑り落ちそうだったけど、
頭をすこし右に傾けてくれた彼女の優しさが伝わった。
『カサブタできたんよ・・・』
『怪我したん!!?』
『ふふふっ』
『な、なんだよ?』
『違う違う!大丈夫だよ?優しいね?w』
『はぁ、、かなわん。』
『あはっwごめんごめん』
『で?』
『にゃ?』
『カサブタ?』
『あぁw』
『あぁじゃなくて。』
『気持ち的にってゆうさ・・・』
『あぁ。』
『うん。ふふふっ』
『ごめん、傷つけた。笑って誤魔化さなくていい。』
『・・・ありがと。』
『うん。』
サイドK
白い湯船に浸かって、
後ろから抱き抱えられて、離れていた時間を、
距離を、
埋め尽くすみたいに・・。
愛しいのっちの腕の中、
やっぱりあったかいのは、
きっとお風呂だからってだけじゃないよね?
『色々気付いてあげれんくて、ごめん。』
『うん・・・』
『不安だった?』
『・・・うん』
『だよね。』
『・・・傷がね、、』
『傷?』
『うん。傷がね、治ったかなぁって思ったんだけど・・・』
『うん。』
『まだ治ってなくてね。』
『うん?』
『乾ききってないのにカサブタ剥いじゃって・・・』
『また生傷。』
『ふふっ・・・そう。』
『何重にもなった?』
『うん・・・まだ治らないの』
『うん。』
『さっきまで、まだ生傷だったから・・・』
『うん。』
『・・・治るかな?』
『・・・治すよ。』
『うん、ありがと・・・』
『この傷とさ、一緒にカサブタになったらさ・・・』
『ん?』
右頬の傷は私の傷。
私の傷はあなたの傷。
『カサブタになったら治るよね。』
『・・・うん』
『早くカサブタになって剥がしたいね。』
『・・・うん』
『早くカサブタになって治したいね。』
『・・・うん』
『一緒に・・・剥がしていこうね?』
『・・・うん』
『そばにいるよ。』
『・・・うん』
『だからそばにいて?』
『・・・うん』
右頬の傷は私の傷。
私の傷はあなたの傷。
二人寄り添って、
もう二度と離れないように、
湯船の中で固く固く手をつないだ。
握り返してきたその手を、
私はもう絶対に離さない。
最終更新:2009年05月14日 01:57