アットウィキロゴ
「ねぇ、のっち」
「はい?」

「前の学校の友達と連絡って取ってるん?」
「な、なに?急に?w」
今の時間の授業は先生が急病の為、自習と言う名の自由時間。

「んー?なんか、ふと思ったから?のっち、前の学校の友達の話とか言わんじゃろ?」
「あー・・・別に普通にしゃべる子とかはいたけど、特別仲良かった人っていないんだよね・・・」

「今まで、ひとりも?」
「うーん・・・。中一くらいまではいたけど、離れるのが辛いから、それ以来あまり友達作りしてないんよ・・・」
って、なんで急にあ〜ちゃんは、あたしの友達の話を訊いてくるんだ?

「そうなんだ・・・」
「うん」

「そっか・・・」
何か言いたそうなあ〜ちゃんの顔。
「なに?どうしたの?」

「ううん。なんでもないけぇ」
もしかして、あたしがまた転校するかもしれないって思ってるのかな?

「あ〜ちゃん、大丈夫!あたしこの学校で卒業出来るから!」
そう、もうお父さんの仕事が本当に落ち着いたから、引越しは必要なくなったんだ。

「そうなん?」
「うん!!それに、うちの学校ってクラス替えないんでしょ?」

「そうよ。三年間一緒のクラスじゃけぇ」
「来年も、あ〜ちゃんと一緒のクラスで良かったよ!」

「なんで〜?」
素っ気無いあ〜ちゃんの返事。
「なんでって、あたし、あ〜ちゃんくらいしか友達いないしww」

「ふーん・・・でも、のっち引越しは大丈夫でも、進級で引っかかって留年したら、どうするん?ww」
「えーーーww、それヒドくね?w」
あ〜ちゃんから笑顔が戻って良かった。
ほんと良かった・・・。


———翌日のお昼休み。

「あ〜ちゃん・・・」
「んー?」

「やっぱ、冬に屋上でお昼食べるのって、無理あるんじゃない?」
あたしはコートを教室に忘れてマフラーで寒さをしのごうとしてるけど、体はガタガタ震えてる。
「そうじゃね・・・」
あ〜ちゃんはマフラーとコートを着てるけど、鼻をすすってる。

「ね、教室戻ろう?さぶいよ・・・」
あたしはお昼のサンドイッチを鞄に入れ戻して、立ち上がった。

「あ〜ちゃん、ここがいい・・・」
「え?寒いじゃん。また、風邪引いちゃうよ?」
あ〜ちゃんは自販機で買ったホットココアを、ホッカイロ代わりにしてる。

「戻りたいなら、のっちひとりで戻りんさい」
「・・・ぃや・・・じゃ、あたしも、ここに残るよ」
あれ?今日のあ〜ちゃんは、なんだかご機嫌斜め?

あたしはまたあ〜ちゃんの隣に座る。
鞄に戻したサンドイッチを取り出して、また食べ始めた。
あ〜ちゃんはお弁当を食べてなくて、ココアだけを口にしている。

「あ〜ちゃん、食べないの?」
「・・・食欲ないんよ」
「えっ?大丈夫?体調悪いの?」
「大丈夫!!」
こっちが心配してんのに、逆にキツイ口調で言われてしまった。
ほんと、今日のあ〜ちゃん、どうしたんだろ?

「へっくし!!」
ヤバイ、寒さでくしゃみが出た。
「のっち、寒いなら戻りんさいよ。無理にあ〜ちゃんに付き合うことないけぇ」
すごく冷たく言いわれて、ちょっと悲しかった。

なんで急に、あ〜ちゃんの態度が変わっちゃったんだ?
あたし・・・なにか気に障ることしちゃったのかな?
どうしよ・・・。
あ〜ちゃんに、嫌われたくないよ。


「あの・・・あ〜ちゃん?」
「・・・なに?」
「えっと・・・あの・・・その・・・」
「なに?はっきりしんさい!!」
あぁぁ、今度は怒られた。

「へっくし!!」
あぁぁ、またくしゃみしちゃった。
「もう、教室戻りなよ・・・。ほんまに風邪引くけぇ」
今度は突き放された。

「嫌だ」
寒くても、くしゃみをしても、風邪引いてもいいから、あ〜ちゃんの傍にいたい。
あたしが駄々をこねてると、あ〜ちゃんは自分が着てたコートをあたしに掛けてくれた。
いや、掛けてくれたというか、乱暴に放ったって表現の方が近いかもしれない。

だから一瞬コートで視界が遮られた。
視界を遮ったコートから顔を出すと、あ〜ちゃんの後姿が見えた。
あ〜ちゃんはコートをあたしに放って、自分が教室に戻ってしまった。
あたしは、あ〜ちゃんのそんな行動を取る理由がまったくわからなかった。

どうして急に態度が冷たくなったの?
マジで嫌われた・・・?
ほんとに思い当たる節がないから、困った。
知らない間に、あ〜ちゃんに悪い事しちゃってたのかな?

予鈴が鳴った。
早く教室に戻らないと、午後の授業始まっちゃう。
立ち上がろうと思っても腰が上がらない。
体が重くて上がらない。
正確には心が重い。

こんな気持ちで授業受けたって、頭に入らない。
ちょっとここで冷静になろう。
冷静になったら、戻ればいいや・・・。

時間は経つけど、全然冷静になんかなれなかった。
むしろ余計な考えばっか浮かんできて、泣きそうだ。

直接訊けないし言えないけど、これなら出来る。
あたしは涙で視界をぼやかしながら、あ〜ちゃんにメールを打った。

『あたし知らない間に、あ〜ちゃんの気に障る事しちゃったのかな?
ごめんね・・・気付かなくて。
謝るから、嫌いにならないで』

返信は来なかった。
教室へ戻ったら、あ〜ちゃんはあたしにコートを渡したまま早退してた。

なんで?
どうして?
こんな寒いのに、コートを着ないで帰っちゃうの?
そんなにあたしといるのが嫌になっちゃった?

あ〜ちゃん・・・好きにならなくていいから、嫌いにはならないで。大嫌いって言わないで。







最終更新:2009年05月14日 01:59