消したいボーダー。
越えたいボーダー。


消せないボーダー。
越せないボーダー。


大学一年の春。
突然出会った横顔に
打ち抜かれた。
まだ消せない。


大学一年の夏。
初めて聞いた喋り声。
頭を掻く癖と、無愛想な態度。
まだ越せない。


大学一年の秋。
知ってしまったあなたの気持ち。
知りたくなかった“彼女”の名前。
気付きたくなかった
悪意のない意地悪な私の答え。
早く消したい。


大学一年の冬。
見なくなった“彼女”の姿。
見たくなかった悲しい顔。
気付いたこと、
人を好きになることなんて簡単。
人を嫌いになることは大変。
自分が傷つくことより、
あなたが傷つくことが辛かった。
あなたの瞳にうつる
“彼女”が辛いと、
あなたも辛いのならば、
傷つくのは
私一人で十分だ。


さよならのっち。
さよなら愛しい人。
地球上であなたより愛しい人なんかどこにもいないよ。
さよならのっち。
早く越えたい。


消したいボーダー。
越えたいボーダー。


私のためのボーダーラインは、
虚しくもあなたのラインとは平行線で絡み合うことはなく、
虚しくも“彼女”のラインと解かれぬ赤い糸のように絡み合った。


消せないボーダー。
越せないボーダー。


あなたの綺麗な横顔が
いつまでも笑顔でありますように。


サイドA.END






最終更新:2009年05月14日 02:03