大きな手があたしの髪をとく
ふわふわだねなんて言いながら
重なった唇から伝わる確かな温もり
何度ふれてもまだ慣れないよ
離れてくのに合わせて目をふせてしまう
「ここ…控室だよ」
「誰もいないからいいじゃん」
「でも…ん、…」
また引き寄せられる
本当は抵抗心なんて微塵もないのにね
だから入ってくる舌にも簡単に支配されてしまう
けど掴んだ肩を少し押すのは忘れない
それしかできないから
「ちょ…こんなとこでやめてよー」
突然の声に完全に離れるゆかちゃんの体温
「なんだのっちかぁ。ふふっびっくりした」
「びっくりしたのはこっちだから。ほんと、誰かに見られたらどうするん?」
「どうしよっかな〜」
おどけたように言う彼女にのっちは呆れ顔で、
持っていたかばんをテーブルに置いた
「2人のこと応援してるけどさ、あんまり心臓に悪いことはせんでよね」
ぱっとこっちに目が向いて、あ〜ちゃんも!って怒られる
「わかったよね。あ〜ちゃん」
ぱっとこっちを向いてあたしの頭をぽんぽんとなでながら言うゆかちゃん
はーっと大きなため息が離れたところから聞こえた
「ラブラブなんはいいんだけど…。ちょっとのっち飲み物買ってくるけえ。」
なんもせんでよって言い残してあたし達に背を向けて控室を出るのっち
それを見つめるのは…ゆかちゃん
それに目をやれないのは…あたし
パタンとドアの閉まる音がゆかちゃんにはどう聞こえてるの?
「…怒られちゃったね」
また頬に伸びてくる手を一応掴む
「うん。怒られたけぇ…だめ」
「また怒られよ?」
掴んだ手を押さえつけてまであたしに触れる理由は簡単
どうしようもない焦燥がゆかちゃんを襲ってる
その感情の逃げ道が、あたしなんでしょ?
知ってる、知ってるよゆかちゃん
中身のない行為だって知ってる
想いは完全にあっちにあるって分かってる
けど気付かないふりするよ
今のあたしはそれしか知らないから
拒めば拒むほど求めてくるのは、満たされない心の隙間を埋めたいから?
でも拒めば拒むほど求められるのを知ってるから、
そんなでも求めてくれるのが嬉しいから
これからもずっと、気付かないふりをする
あたしは、あの子の、次
最終更新:2009年05月14日 02:29