目覚めたゆかちゃんは、顔を隠すように布団を被ってしまった。
まだ拒絶されてるのかも知れない。
だけど、握った手だけは意地でも離してやらなかった。
「な、んで、、おるん、、、?」
「ごめん、、勝手に入った。。」
布団を剥ごうとしたら、結構な力で阻止される。
「や、だ・・・・」
「もう、、のっちの顔も見たくない?」
「ちが、っ、、」
布団の中でゆかちゃんが震えている。
「だっ、て、、ゆか、、すっぴんだし、、」
「ゆかちゃんのすっぴんなんて何度も見とるって」
あの時、みたいに震えてる。
「汗いっぱいかいた、、、」
「かんけーない」
昨日、わたしを押し倒しながら涙を流した時みたいに。
昨日、全てを拒絶しながら雨の中に消えて行った時みたいに。
「汚いよ、、ゆかは、、汚れてるんよ、、」
きっと、それは、彼女の精一杯の自己制御。
本当の気持ちに素直になれない彼女の自己制御。
「だからっ、、のっちに触れる資格なんて」
「のっちは・・・!」
彼女の言葉を遮って、更に握る手に強く力を込めた。
そのまま、彼女の右手を引き寄せて自分の頬に触れさせた。
頬に触れさせた瞬間、大きくビクついた彼女の右手。
だけど、そのうちに躊躇いながらも、優しく頬を撫でてくれた。
「、、どんなゆかちゃんでも、すき」
ねぇ、ゆかちゃん。
ゆかちゃんが汚れてるっていうのなら、のっちだって一緒に汚れるよ。
「ゆかちゃんが、ゆかちゃんでいるだけでいいんよ」
自分を傷つけるくらいなら、わたしを傷つければいい。
どんなに傷つけられたって、わたしが君を大切にする。
「ゆかちゃんじゃなきゃ、ダメなんよ」
逃げたくなったら、逃げればいい。
君が寂しさを感じたら、いつでも迎えに行ってあげる。
「樫野有香の全部がすき」
笑いたくない時に、笑わなくていい。泣きたい時は泣けばいい。
無邪気に笑う顔も、ぐしゃぐしゃな泣き顔も全部見てたいんだ。
「だから、そんなこと、言わんでよ。。」
だから、どうか、
わたしを君の隣に置いておいて。
君に触れさせて。
君を愛させて。
わたしを愛して。
「ねぇ、ゆかちゃん、、そのままでいいからさ、聞いて?」
わずかに布団から見える黒い髪を撫でて、握った右手の甲に小さくキスを落とした。
「ゆかちゃん、あの写真ね、、、」
君の不安の引き金を引いたあの写真。
「のっち、あの時ゆかちゃんのこと考えてたんよ」
あの人がわたしを撮った唯一の写真。
最終更新:2009年05月14日 02:47