楽屋に戻ってくるとそこには珍しく仕事前なのにおねむなゆかちゃんがいて
見慣れない光景とあ~ちゃんの居ない絶好の機会に好奇心を抑えられないあたしがいた。
「かっしぃー…?ゆかちゃぁん?かしゆかあぁ…?」
すぅすぅという可愛い寝息にそれと同調して上下する肩。
ちょっとだけ、そう思って髪をかき揚げ覗き込む。
白い肌に長いまつ毛、警戒心ゼロのそれはまだしらないゆかちゃんの顔で。
ちょっとだけのつもりがついつい見入ってしまう。視線を引き寄せる引力は悪魔のそれと一緒みたい。
目を開けると至近距離にのっちがいてちょっとびっくり。目力強いけぇね。まぁそこが好きなんだけど
当ののっちはうわって後ろに転んで尻餅をついて…なんか微妙に失礼じゃねぇこの子は。
「大丈夫?」
「うん。」
元気いっぱいに立ち上がるのはいいけどちょっと涙目になっとるよ。
「ゆかの顔覗き込んでなにしてたん?」
「…いや、別に…かわいいなぁって、うん…他に意図があったわけじゃ…」
目を泳がせもごもご言い訳するのっち、いや言い訳になっとらんね。
ていうか可愛いからとかつい欲が抑えられずとか引力でとか…なんか内容が変質者っぽい。
こういうしどろもどろな姿を見てるとつい意地悪したくなってくる。あたしの悪い癖。
「のっち、可愛いとかそんなことゆって口説いとるん?」
不意を突かれた顔ののっちにグイッと近付く。近距離戦ならこっちのもんじゃけ
「あ~ちゃんに飽きたん?それともつまみ食い?」
「ちがっ」
「…ゆかは、のっちならたとえ遊びでもええんよ」
「あぅ…いや、あの、その…」
いちころじゃね
皆さまこんにちは、のっちこと大本彩乃です。ただ今わたくしはゆかちゃんに誘惑されています。
ていうか二股かけろってぇエエぇエえ?遊びでもいいって?
え、え、それは、その、確かに言われてみればゆかちゃんからの熱い視線を感じたことがあったような、なかったような…。
ああ、ゆかちゃんその上目遣いは殺人級だよ…。
ってえダメダメ!あ~ちゃん!あ~ちゃんが居るじゃん!あたしは俄然綾香だよ!うん!…うんっ。
何か言いたいのに言うべきなのに頭の中のコンピューターはあり得ない事態にパンク寸前で、顔が熱い。
息が切れそうで深呼吸したらゆかちゃんの香りを目一杯吸い込んでしまって
甘いキンモクセイの匂いに脳が痺れるのを感じた。
「のっちぃ…」
うるんだ瞳があたしを捕える。
そのまま、近づいて…きて、これは、くる…いけないと分かっていても体が動かない、、
あと少しで、触れっ…神様仏様綾香様一時の夢をお許しください!
「…っぷ、も、ダメ、のっち、、おかしい」
際どい、ほとんど距離のない近さで途端にゆかちゃんの顔がくしゃってなったと思ったら爆笑…ってあれ?
「ゆかちゃん…?」
「のっち、間に受けすぎ…ゆかが困るわ…」
キスのひとつくらい決めるつもりだったけど真っ赤なほっぺと点になった目
困った様子の八の字眉に決心したのかつき出た唇。
顔全体のアンバランスさに思わず笑ってしまう。
見つめ合うだけでもドキドキな距離でそれは反則じゃのっち。
流石にひとしきり笑い終えるころには悟ったみたいで段々不満色に染まるのっちの顔。
でも簡単に流されちゃうのっちもわるいんよ?
「のっち、あたしだから良かったものの今の状況他の子だったらそのまま食べられちゃうけぇ気ぃつけぇよ」
「むぅう…」
「ほんまヘタレじゃねぇ」
うぐっ
「あ~ちゃんには言わんけぇ今度奢りね」
あぁ野口さん…!
な、何か言い返さねば!何か…何か…何かガツンと…!言われっぱなしでいいわけ、ないっ!
「ゆ
「かっしぃ!のっち!もうリハの準備済んだらしいよ。仕事じゃけはよいこ!」
ドタバタバーンと勢いよく開いた扉から慌ただしい空気と元気なあ~ちゃんが流れこむ
あたしに向かって一瞬ペロリと舌を出したゆかちゃんはあ~ちゃんの元へ避難してしまってあたしは結局何も言えず仕舞い。
いつの間にかタイミングまで味方につけてて
小悪魔さんに対抗するにはあたしはまだまだレベルアップが足りないみたいです。
うぅー…。
最終更新:2008年10月10日 18:15