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SIDE-N


落ち着いたな、って最近思う。
昔は自分に言い寄って来る人には男女問わず身体を許していた。
来る者拒まず、去る者追わず。
まさにそんな感じだった。
言っちゃえば、都合の良い女。
それで自分がモテていると勘違いしていた。
主体性のない行動はそのうち己の身を滅ぼした。
無気力、無関心、無責任、無感動。
空っぽな人間になっていた。
それに気づいて自暴自棄になった時、ゆかちゃんに出逢った。


ゆかちゃんのおかげで自分が失ってしまったものを
一つ一つ取り戻すことが出来た。
笑うことも、怒ることも、悲しむことも。
ゆかちゃんと付き合うようになってから人間らしくなったし、以前のように遊ばなくなった。
でもね。
まだ取り戻せてないことがただ一つだけある。
それは人を愛すること。
愛することがわからない。
ゆかちゃんは確かに愛してくれている。
愛のあるその行為が、だだ受け流すだけの行為とは
比べものにならない程キモチイイってことを教えてくれたのはゆかちゃんだ。
でも自分の行為に愛があるかと聞かれると、疑問に思ってしまう。
自分の経験値がものをいっている気がしてならない。
ゆかちゃんには感謝してる。
だからゆかちゃんに求められる限り、その行為を続ける。
ゆかちゃんも感じてくれている。
正直身体の相性は良いと思う。
それで良いっちゃ良いんだろうけど。
行為中にふと冷める自分が嫌いだった。






それでも毎週末はゆかちゃんの部屋で過ごすことにしていた。
金曜日の夜はゆかちゃんが疲れてるからと土曜日の朝から日曜日の夜まで。
いつもより早く目が覚めたから、いつもより早くゆかちゃんの部屋に向かう。
ゆかちゃんが起きてるかわからないから一応電話する。


「もしもしゆかちゃん?」
『ん…もしもし?のっち?』
「寝てた?」
『うん…』
「あーごめんね。あのさ、鍵開けといてくんない?早く着きそうだからさ」
『え?わかった…。あ、そうだ、のっち』
「ん?」
『昨日友達来てそのまま泊まってるんだけど』
「男?」
『んな訳ないじゃん。女のコだよ。』
「だったら別にいいよ。なんなら紹介して。」


そう言って電話を切った。
ゆかちゃんの友達をあまり知らなかった。
だからその友達に少し興味をもった。


その出会いがすべての始まりになるとは知らずに。





つづく







最終更新:2009年05月14日 03:14