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SIDE-N


「おじゃましまーす」


ドアを開けると玄関には見慣れないヒール。
そして部屋の奥にはゆかちゃんと。


「のっち、紹介するわ。幼なじみの西脇綾香ちゃん。
あ〜ちゃんって呼んであげて」


あ〜ちゃんと言う女のコ。
…あれ?


「はじめまして!あなたがのっち?」
「あ、はい…」
「ゆかちゃんから聞いとったけど…ほんとにカッコイイね」
「や、とんでもないっす…」
「あ〜ちゃん、見た目に騙されたらダメだから」
「えー、そう?そんなことないよねー?のっち」
「え、いや、そうれすね」
「ほーらあ〜ちゃん。のっちって大事なとこで噛むんよ」
「ふふっ、ほんまじゃね」


微笑みながらあたしを見つめる彼女。
まただ。
何、これ。


「…じゃああ〜ちゃん帰るね。またね!泊めてくれてありがと!」


そう言って彼女があたしの傍を通ったとき、
鼻をかすめた香水の香りに身体が確かに反応していた。
なんでこんなに鼓動が速まってるんだろ。
今までこんなことあったっけ…。
あたしは彼女が出て行った後も、まるで彼女がそこにいるかのように玄関から目が離せないでいた。


「のっち…?」
「…ん?」
「どこ見てんの?」


気付けばゆかちゃんがあたしに絡み付くように抱きついていた。


「いや、別に…」
「じゃあゆかだけ見ててよ。」


ゆかちゃんはあたしの唇をうっすら舐めた。
それがいつもの合図。
ゆかちゃんの部屋に来たらこの合図から始まる。
今日はだだ彼女が来ていたから始めるタイミングがずれた。
だからだ。
きっとそのせいであたしの身体が変になっちゃったんだ。
そう思うことにした。


いつもの様にゆかちゃんをソファーに寝かせて、その上に覆いかぶさる。
ゆかちゃんと唇を合わせながら、身体を弄る。
その時、ふと彼女の香りがした。
ゆかちゃんの服に彼女の香水の香りが移っていたみたいだ。
再び鼓動が速まる。
あたしはゆかちゃんを指で責め立てながら、頭では彼女のことを思い出していた。







あたしの愛のない行為をゆかちゃんはひたすら受け止めてくれた。


「ゆかちゃん、かわいい。」


正直な感想だった。
行為を終えた後のゆかちゃんがかわいいのは確か。


「そういえば…あのコもかわいいね」


ふと口に出してしまった。


「あのコって…あ〜ちゃん?」
「…うん」
「ゆかにヤキモチやかせたいの?」


腕の中でうなだれてたゆかちゃんが頬を膨らませる。
かわいいのは確か、なんだけどさ。


「うん。ヤキモチやかせたいの。」
「…のっちのイジワリュ」


本音を隠す術をあたしは知りすぎている。
ゆかちゃんを抱きしめながら、僅かに香る彼女の香水を求めていた。


「ねぇ、ゆかちゃん。あのコと幼なじみなんだよね?」
「うん」
「だったらあのコとまた話したいな。
ゆかちゃんがちっちゃい頃の話とか聞きたいし。」



ほらまた。嘘ついた。





つづく






最終更新:2009年05月14日 03:41