Side.A
「ふふっ…」
のっちの家を出ると、自然に笑みが零れた。
最後に見た、のっちの縋るような視線を思い出すと、幸せな気分になった。
私は、悩んではいない。
病んでいる、みたいだ。
のっちの視線が、私以外の人に向くのが、嫌なの。
それだけで、不安になる。
だから、のっちを、縛っておきたいの。
自分は素直になれないくせに。
私は、すごく狡いんだと思う。
でも、堪えられんのよ。
他の人と、喋らんといて。
笑いかけないで。
見ないで。
あ〜ちゃんだけを、見てよ。
のっち、
ごめんね。
でも、あ〜ちゃん、
のっちのことには、我慢出来んの。
のっちは、あ〜ちゃんだけに困ってればいい。
あ〜ちゃんだけを見てればいい。
あ〜ちゃんでいっぱいになってれば、いいんよ。
のっちは、あ〜ちゃんのもの、だから。
Side.K
暇だ。
何もやることがない。
仕方ないので、なんとなく携帯を弄ぶ。
…今頃、のっちとあ〜ちゃんはいちゃいちゃしてるんかな……?
そう思うと、ちょっと落ち込む。
でも、仕方ないんよ。
のっちにはあ〜ちゃんしか見えてなかったし、あ〜ちゃんはのっちが好きなのは一目でわかったし。
だから私は、のっちへの気持ちを押し殺したんだ。
でも、そんなに辛くはなかった。
幸せな二人のそばにいれるのなら、それでゆかも幸せなんだ。
……なんて、携帯をいじっていたら、突然着信。
相手は……のっち。
あんた、何したんよ。
どうせ、あ〜ちゃんを怒らせて困ってるんじゃろ。
なんて思って、電話に出た。
「もしもし。」
「…ぅ……ゆか、ちゃん…」
「…のっち?」
なんか、様子が変だ。
「のっち、…どうしたん?!」
「あ〜…ちゃん、が…っ……のっち、もう……っ」
ひどく取り乱した声。
ただならないものを感じた。
「のっち!!今から行くけぇ、待ってんさい!!」
私はすぐに、のっちの家に向かった。
最終更新:2009年05月14日 04:06