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SIDE-N


あの日から出来たあ〜ちゃんとの距離。
今までのあたしなら、何とも思わないはずなのに。
ゆかちゃんは何も知らないから呼ばれれば会わないわけにもいかず、
今日もまたゆかちゃんの家で三人で会っている。
こうしていても見えない壁を感じる。
当然のことだよね。
あたし、最低なことしたもん。
最低なことをしたってわかっていても、
頭のどこかでは懲りずにあ〜ちゃんに触れたいと思ってる。


「あっ、もうこんな時間だ。あ〜ちゃん、帰るね」


ゆかちゃんが間にいる限り、あたしは冷静でいられたんだけど。
そう言ってあ〜ちゃんが荷物をまとめはじめると、あたしはいてもたってもいられなくなった。


「もう遅いし暗いから、のっちが送るよ」


あたしの台詞にあ〜ちゃんは一瞬身を固まらせた。


「べ、別にいいよ。駅まで近いし…」
「いや、あ〜ちゃん。結構ここ夜は治安悪いからさ、のっちに送ってもらった方がいいよ」


ゆかちゃんにもそう言われた手前、あ〜ちゃんは断り切れなくなったみたいで。


「じゃあ…お願いします。」


あたしの方を一度も見ずにそう言った。








「どういうつもり?」


街灯の明るさだけではあ〜ちゃんの表情は確認できない。


「この前のこと、謝りたかったから。」
「…謝らなくていいよ。」
「え…」
「昔の血が騒いだだけでしょ?」
「それって…どういう意味?」
「あ〜ちゃん知ってるよ。のっちが遊び人だったこと。」
「…。」
「だから別に気にしてないから。」


そんな怒った声で気にしてないと言われても、信じられるわけがなかった。
スタスタと前を行くあ〜ちゃんの腕を掴む。


「待って。」
「…何?」
「違うから。」
「何が?」
「遊びとか、そんな気持ちじゃなくて。」
「…。」
「あ〜ちゃんに会ったときから、なんかおかしいんだ。
あ〜ちゃんともっと話したい。あ〜ちゃんのこと、もっと知りたい。キスしたい。触りたい。
こんなこと、今まで誰にも思ったことなくて…どうすればいいかわかんなくて…。
これって何て感情なの…?」
「…そういうことをゆかちゃんに対して感じたこと、ないの?」


さっきとは違う、哀れむようなあ〜ちゃんの声にあたしの本音が誘い出される。


「…な、い。」
「だったら」




「何て感情なのかなんて知らなくていいよ。」


そう言い残して、あ〜ちゃんはあたしの掴んだ手を振り払った。






つづく








最終更新:2009年05月14日 04:09