「世界で一番好きな女の子だから」
ゆかちゃんの瞳がぱちぱちと瞬きする。
そして、しばらくして目を伏せた。
…やっぱり、受け入れられないよね。
「それ、……ほんと?」
「え、うん。本気の本気。マジ。嘘じゃない」
「そう…」
「うん…」
向かい合ったまましゃがみ込むリビングの床はひんやりしてて少し冷たい。
さっきまで抱きしめていた体が、今は少し遠い気がした。
「…ゆかは」
「うん」
「のっちの、こと」
「うん」
「……すき。かも」
「うん…」
言葉を選びながら、たどたどしく話すゆかちゃんが可愛い。
目を合わせたくないのか、合わせないようにしてるのか、視線があちこちに飛んでいる。
「…多分、すき」
「うん…」
「すき…なのかなぁ…」
「ふへへ…なんだそれぇ」
可愛い。ただ、彼女が愛おしい。
今はこの離れた距離すらもどかしい。
「…もういいよ。ゆかちゃんの傍にいられるんなら、のっちの事どう思ってるかなんて…今はいいや」
「いいの?」
「だって、こうやってゆかちゃんがのっちの傍にいてくれてるだけで幸せだから」
我慢出来ずに距離を縮めた。
細い体を抱きしめる。怖ず怖ずと背中に回される手になんだか笑ってしまう。
「…なんで笑いよるん」
「だって…可愛くて」
「!…のっちキャラ変わった?」
「今まで我慢してたんだから、これくらい許して」
…幸せだ。
こんな些細な会話すら、彼女がここにいるという事実があるだけでこんな幸せに化けるんだと、今日初めて知った。
「…これでやっと、のっちも我が儘言えるよ」
「え、何?」
「もうずっとのっちの傍から離れないで、って」
それを聞いた彼女の頬がまるでりんごみたいで。
あたしはまた笑ってしまった。
最終更新:2009年05月23日 18:14