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SIDE-N


玄関先で何やってるんだろう。


「のっちは、あ〜ちゃんが好きなんだ。」


あ〜ちゃんの後ろにまわした手で、身体を撫でる。
外は雨で寒かった。
あたしの身体は冷え切っていたのに、
こうしてあ〜ちゃんに触れるだけで熱くなる。
でも。
今日のあたしは。
これ以上先に進むのに、抵抗がある。
前みたいに無理矢理進めることは出来ない。
あたしはあ〜ちゃんの顔を伺う。
あ〜ちゃんは哀れむような目であたしを見る。
拒んではいないみたいだけど。
あたしはあ〜ちゃんから身体を離そうとした。
すると今度はあ〜ちゃんがあたしの腕を掴んだ。


「あ〜ちゃん…?」
「別に良いよ。」
「え…」
「のっちの好きにして、良いよ。」


あたしは耳を疑った。
あ〜ちゃんの顔から真意は読み取れない。
戸惑いながらも、あたしは手を進めた。


(*微er)




「あ〜ちゃん、好き。」
「ん…は、ぁっ」
「…好き。」
「ぁ、ん…、っ」
「はぁ、っ…好きだ、よ。」


何度も何度も、その言葉を噛み締めるように繰り返す。
その度にあたしのこの感情が『好き』という感情と一致することを確信する。


そうか。
これが『好き』という感情だったんだ。
今まで付き合った人はあたしに『好き』という言葉を求めた。
あたしは意味も分からぬまま、ただ『好き』と言い続けた。
『好き』と言うことがこんなにも切なくなることなんて、知らなかった。


「あ〜ちゃん…」
「っ、あ、ぁ、ぁ」
「好き、だ。」


あ〜ちゃんの身体が跳ねて、力が抜ける。
あたしはあ〜ちゃんが崩れ落ちないように抱きとめた。


「はぁ、はぁ…最低、だね。」
「ごめん…」
「…のっちじゃないよ。」



「最低なのは…のっち、じゃない。」




まだあたしには、あ〜ちゃんの言うその意味が理解できなかった。






つづく








最終更新:2009年05月25日 20:22