SIDE-A
のっちの縋りつくような目に、
私はのっちを受け入れてしまった。
新しく知った言葉を使いたがる子供のように、
のっちは私に『好き』と繰り返す。
のっちは知らない。
身体を重ねる以外で人を愛する方法を。
のっちは知らない。
ゆかちゃんがのっちの行為に愛がないと気づいていることを。
のっちは知らない。
私が昔からゆかちゃんのことが好きだったということを。
そして。
ゆかちゃんが私に何を求めているかを。
のっちが知らないことを私は知りすぎている。
だから後ろめたかった。
どうしても拒絶することができなかった。
本当に最低なのは、この私だ。
全てを知っていて、知らないフリをする。
それってもしかして。
ゆかちゃんもじゃない?
つづく
最終更新:2009年05月25日 20:23