サイドN
手にしたばかりなのに、失うことばかり考えてしまう。
“だからあなたもきっとそうなんでしょ?”
今まで目にしたもの、何から何まで変わってしまうものばかりだから。
“だからあなたもきっとそうなんでしょ?”
“きっかけは些細なこと”
なんてよく言ったもんだ。
本当にそう。
本当に些細なことで、
明日には忘れてしまうんじゃないか?ってくらいに。
でも、でもね?
多分こうなるってわかってたのかもしれないな?
お互いに、
お互いが、
お互いを、
まるで全て知っているかのようにスムーズで。
今思えば、
“些細なこと”
じゃなくて。
紛れもなく○○だったのかもしれないね。
本当にそう思うから、
○○なんて口に出して言えないけれど。
だって、
格好悪いじゃない?
“運命”だなんてさ。
サイドK
手にしたばかりなのに、失うことばかり考えちゃう。
“だからあなたもきっとそうなんでしょ?”
今まで目にしたもの、何から何まで変わってしまうものばかりだから。
“だからあなたもきっとそうなんでしょ?”
運命とも言えるような偶然。
偶然とも言えるような必然。
必然とも言えるような奇跡。
そんな中で出会った私たちは、
最初から“こうなるのかも?”なんて、
どっか頭の端っこで思っていたの・・・かも。
ううん、違うか。
私だけ。
多分、そう思ってたのは、
奇跡を運命だったと勘違いしたい私だけの思考。
きっかけなんて驚く程些細で、
きっともうのっちは忘れてるよね?
私はずっと覚えてるよ。
ううん、これも違うか。
忘れたくても、忘れられないだけ。
そう、これも私だけの思考。
サイドN
連日続く忙しいスケジュールの中で、
当たり前のように繰り返される挨拶や、
呆れたように繰り返される心配顔。
仕事の時は仕事の自分にシフトチェンジする私に、
さりげなく気を遣ってくれるかしゆか。
他がくれる優しさとはまた違う。
厳しいんだけど、あったかくて、
冷静なんだけど、優しい目をするかしゆか。
でも特に、どこに惹かれたとかじゃない。
みんなが言う、
長い黒髪ストレートだとか、
細い体だとか、
甘い声だとか。
そんなものは長年一緒にいて、
いつも当たり前のようにそこにあるから、
特別なことじゃない。
きっとかしゆかだってそうだ。
別に、たいして私に興味があったとも思えない。
だから私たちは『曖昧』なんだ。
サイドK
連日続く忙しいスケジュールの中で、
当たり前のように繰り返される挨拶や、
困ったように繰り返される八の字顔。
仕事の時は仕事の自分にシフトチェンジする私を、
こっそり心配してくれるのっち。
他がくれる優しさとはまた違う。
不器用だけど、あったかくて、
無関心かと思えば、鋭い目をするのっち。
気付けば当たり前のように側にいて、
良いとこも悪いとこも全て知っているこの人に、
こんな感情が生まれるとは思わなかった。
多分のっちもそうだね。
今でも私をどう思ってるのかなんて、
全くといっていいほどにわからないし、
だいたい、
元々何を考えてるのかわからない。
けど多分、
そんなとこも含めて、
のっちはのっちらしくて。
いつだって自分らしくいるのっちが格好よかったのは確かで。
こんな感情が生まれるとは思わなかったのに・・・。
だから私たちは『曖昧』なんだ。
つづく
最終更新:2009年05月25日 20:42