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撮影を終えて、楽屋に戻ると、のっちとゆかちゃんが今撮り終えた写真を見ていた。
一枚一枚、次々に取っ替え引っ替えしては、ぎゃあぎゃあ騒ぐ。

「やばい、このゆかちゃん!これ絶対狙ってるでしょ」
「のっちだって、この顔!あたし、綺麗でしょ?みたいになっとるじゃん」
「そ、そんなんなっとらん!」
「はいはい。あんただっていい加減自覚あるでしょ。世間はのっちをどう思っとるか」
「えぇ〜、そんなん知らん。わからん」
「はいはい」


顔を真っ赤にして俯いてしまうのっち。

ちょっと前までなら、あたしはすぐにあの二人に加われた。
三人で輪になって、ばか騒ぎできた。

できなくなってしまったのは、どうしてだろう。

のっちの前では、あたしはあたしじゃなくなってしまいそうになるから?


のっちのことが好きなのに傍にいるなんて、ゆかちゃんに後ろめたいから?


きっと違う。違うのはわかるけど、どう違うかはわからない。


例えば、のっちとゆかちゃんが別れてしまえばいい、なんてことは思わない。


例えば、時を巻き戻して、あたしがのっちと付き合えれば満足できる。なんてことも思わない。


いっそ、こんな気持ちは全て忘れてしまいたい、なんてことは、思えない。


スタッフさんが、あたしの写真を持ってくる。
今日は三人共ピン撮りだから、一人でも問題にならなかった。
都合が良いのか悪いのか。

あたしはそれを受け取ると、鏡台に一人腰を掛ける。

心中穏やかじゃないことを隠そうとする。
動揺を悟られないように隠す。

心が荒く波立つと、あたしは凪なんだと表面では取り繕う。

結果人間は、どうやら面白味がなくなるらしい。


それに依ってあたしが得た、最近の周りの人からの評価は、落ち着いた、だの。大人になった、だの。


あたしのなにを見てるんだろう。
誰か気付いてよ。
このままじゃあたしは狂ってしまいそう。


じゃあなんで隠してるの?
気付かれたら困るんでしょ。
すごい矛盾じゃない。


気付かなくて当然だ。あたしは隠してるんだから。

手に取る写真は、見事なPerfumeのあ〜ちゃん。
別にかわいいなんて思わないけど、ちゃんと仕事してる顔だ。

まだ大丈夫。

二人を見ると、いつの間にかソファでピッタリ身体を寄せ合って、穏やかな笑顔を浮かべていた。


のっちの表情は、無垢な少女の様で。
その手に持たれているのっちの写真の表情は、魅力的な絵画の様。


美人は三日で飽きる。なんて良く聞くけど、所詮そんなのは大多数に向けられた慰めでしかないことに、あたしは気付いてる。


あたしはのっちと、もう十年ちかく一緒にいるけど、飽きたことなんてない。


のっちがあたしの方を向き、目と目が合う。

柔らかく微笑むのっちの表情に、またあたしの心が大きく波立ち、あたしを守る壁のひとつが、とんでもない勢いで砕け、崩れ落ちる。

でも、今涙を流す訳にはいかない。
あたしは必死に笑顔で返す。


飽きるなんて冗談にもならない。

あたしは彼女を、朝から晩まで見つめていたい。








最終更新:2009年05月25日 20:58