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サイドN


大学でも、
バイト先でも、
彼女を迎えにいくのが私の役目。
それを“いい癖だね”と笑って、
いつでも待っててくれるのが彼女の役目。


気付けば大学三年の夏。
毎日のように大学へ行ってはバイトに行き、
迎えに行って、家に帰る。


大学にいる時は授業すら一緒ではないけれど、
それ以外はずっと一緒だった。
行きも帰りも、お昼だって。
彼女の隣を片時も離れたくなかった。


お昼休み、食堂。
ためらいもなく隣同士に座った。
『後期は一年の授業とろうかなぁ。』
ぽつり呟いてみる。
『ん?そんなにゆかと離れたくないん?w』
笑いながら茶化す彼女。
『うん。』
そう言って彼女の細い腰に抱きついた。
『ちょっ!!ここ食堂!!//』
照れながら慌ててる彼女が可愛い。



『ちょっとー!!』
遠くからあ〜ちゃんの声がした。
『公共の場でイチャイチャしないでよー!!w』
後ろに友達を三人つれて近寄ってくる。
『ちっ!違うんよ!!もう!・・・ばかのっち!!』
ん?のっちが悪いの?
顔、赤いよ?
だけど言わないでおこう。
独り占めしたいから。




一緒のテーブルに座ってあ〜ちゃん達とお昼を食べる。
いつもそう。
何気ない会話もいつもそう。


『ねぇ?のっちはどうすんの?』
『へっ!?』
友達が聞く。
『へっ!?じゃないでしょー!!w』
あ〜ちゃんが笑う。
『大学出たら。就職考えてる??』
『あ!あぁ。』
『うわっ!絶対忘れてたよこの人・・・w』
『いやいや。もう、そんな??』
『三年の夏からじゃん?』
『四年は授業も少ないし、
今のうちから就活してさ、
決まっちゃえば遊べるじゃん?w』
『あぁ。そうかぁ。』
恐ろしいほど、
まったく考えてなかった。


『のっち?』
彼女の声で意識が戻される。
『何も考えてないでしょ?』
『!!な、んでわかったん?』
みんなが笑う。


『顔見りゃわかる。』
呆れたように言う彼女。
『ははは。』
全然笑えない私。


『ま、何とかする。まだまだ先だし。』
そう言って切り抜けた。
そう言って切り抜けた、つもり。




『それ癖だよ!口癖!』
責められるように言われた。
『のっちいっつもそればっかじゃん。』
呆れた表情から一つも笑みが感じられなかった。


気付けば大学三年の冬。
夏から冬。
半年あるのに。
半年あるのに、何もしないでただダラダラと、
大学とバイト先と家を往復する日々が続いた。


彼女はというと・・・
バイト先のショップでカメラに興味を持ったとか?そうでないとか?
『カメラマンにでもなるの?』
不意に聞いたら、
『なれたらいいね?』
だって。
見た目よりはっきりしてる彼女の考え方が正直少しうらやましかった。


『いっつもまだ先のことって言うけどさ?あと一年だよ?』
『うん。』
『ちゃんとわかってる?』
『うん。』
『心配してるんだよ?』
『うん。』
『だいじょ——
『大丈夫です!』
無理矢理大きな声で答えた。
さすがに笑顔は作れないから、
背を向けて答えた。
ちょっと裏返ったけど、
ちゃんと茶化してね?
大丈夫だから、
もうそんなに心配しないで。


『おっとこまえ〜w』
ほら。
無理して笑ってくれて、
ありがとね。
だけど、大丈夫だから。
まだ言わないだけで。
まだ言えないだけで・・・。
ねぇ?
“癖だね”
って笑ってくれる?







最終更新:2009年05月25日 21:02