Side N
彼女の揺れた瞳は一瞬で戻っていた。
もしかしたら私の見間違い?
そう思うくらい一瞬で。
K『のっちってさぁ、もしかして自覚ない?』
N『なんの?』
呆れた様に笑い、視線を外し言葉を吐き出す。
K『あたしなんかよりよっぽど……、男女問わず人気なのはどっちよ。』
N『えぇ〜、そうなのかなぁ。』
どっちが上だ、下だ、
なんて、そんな世間の評価はどうでもよかった。
N『私にとってはゆかちゃんのがよっぽど凄い存在だけどねぇ〜。』
少し小首を傾げてるきみ。
N『だってさ、綺麗で強くて小悪魔で。私にないモノいっぱい持ってるじゃん。』
自分の弱さ甘さをきちんと認め、
それから目を目を反らさずあがいてる。
そんな強さに私は惹かれたのかも知れない。
N『友達だって多くて社交的だし。髪長いし、華奢だし。』
見比べればつくづく正反対な二人なのに、
傍にいれば会話なんてなくても解り合えてる。
きみだけはほかと何かが違う、不思議な存在なんだよ。
好きとか言葉はなくてもつながりあえてる、
そう思える大切な人。
そう思っていたのは私だけ?
K『髪長いとかは誰でもじゃん。』
そう言って笑う、きみの瞳の奥は暗くて見えない。
覗き込んで確かめようとしたら、私を撫でていた手をまた携帯に移し横をむいてしまったきみ。
K『のっちは自覚した方がいいよ〜。』
器用に両手で素早く携帯を操作している、
その強さはやっぱり私に触るそれとは違っている。
K『綺麗なのはのっちだよ。』
一瞬止まる指先。
言葉が終わってもしばらく動かない指先。
横顔じゃきみの気持ちも読み取れない。
だけど今の私にこちらを向かせる術などなくて、空気が変わらないまま時間だけが過ぎて行った。
(続く)
最終更新:2009年05月25日 21:32