(K)
夢だった紅白も終わって、夢見心地のまま年が明けた
年明けから長い休みをもらったゆか達はそのうちの1日、
久しぶりにお泊り会をしようということになった
3人では久しぶりのお泊り会、楽しみすぎて
少し前からのっちもゆかも、会えばその話しばかりをしてた
お泊り会の前日の夜、ゆかはあ〜ちゃんより一足早くのっちの家にいた
…この休みだけでもう何回目だろ
友達と約束がある日でも、少し早めに切り上げてはこうして2人の時間を持ちにきた
のっちにもそれなりに約束があるはずなのに
今から行ってもいい?って聞くと絶対帰って来てくれて
…愛されてるなぁって嬉しくなる
違う時間を過ごしてた間のことを報告しあう時間も楽しくて
うん、幸せ
いつの間にか、のっちに背中をあずけてテレビを見るのが当たり前になっていたゆかは
今日も後ろにのっちを感じながらお笑い番組を見ていた
だから最近、背もたれとしての役目の方が圧倒的に多くなってきたソファーは本来の機能をすっかり忘れられてる
たわいもない会話をしながら一緒にテレビ見て、
のっちに包みこまれながら手を繋げるこの時間がすっごい、…幸せ
「ねぇのっち、明日の夜ご飯なんにする?」
「んーどうしよ…あ〜ちゃんは何がいいんかな?」
「多分揚げ物以外って言うと思う」
「ふふっだね。」
「あっそう言えば、フルーツパーティはしようねって言ってた!」
「んじゃ夜一気に買い出し行かなきゃ」
「ね、楽しみぃ…あっ大輔さんだっ。やっぱ面白いね〜」
「ふふっホンマじゃね〜。」
のっちの膝に置いた手をぱたぱたさせながら、明日の予定を少し立てながら
ふわふわした空気に身をまかせていた
「…ねぇゆかちゃん。明日さぁ、」
「ははは、ん?なぁに?」
「……あ〜ちゃんに言おうと思うんだけど…」
さっきまでのふわふわが急にピリっとしたのに変わった
少ない言葉だったけど、なんの事を言ってるのかはすぐにわかった
でもすぐに分かったはずなのに、うまく頭に入らなくて…
あ〜ちゃんに言うって…言った?
「お〜いゆかちゃん?」
なんの反応も示さないゆかの目の前に、手をちらつかせるのっち
その手をとって膝の上に置いた
「…言うの?」
「うん。そろそろちゃんと…ね。いい機会だし」
「でも、」
「ずっと隠してく事なんてできんじゃろ?」
「そうだけど…やっぱちょっと怖い…」
「大丈夫だよ。」
「なんで?」
「あ〜ちゃんだから」
きっぱりと言いきったのっち
否定されたら…って怖くなった自分が恥ずかしいよ
のっちはあ〜ちゃんを本当に信頼してるんだね
ゆかだってしてるけど…
二人の間にはゆかとは絡まない独特な糸があって
のっちはあ〜ちゃんを太陽だって言うし、
あ〜ちゃんはのっちがいないと多分…ダメになる
そんな二人の確かな関係が、のっちにこの自信を与えてるんだ
だからのっちが大丈夫って言ったらきっと絶対、大丈夫なんだろうな
…そんなのっちとあ〜ちゃんに少しだけ、嫉妬した
「…うん。あ〜ちゃんだもんね」
「…絶対大丈夫。だからちゃんと話そう?」
「うん…」
握っていた手が解かれて、そっとお腹に腕が回される
そのまま後ろから抱きしめてくれるのっちの力が優しくて
全身で怖くないよって伝えてくれてるのっちがやっぱり愛しくて…
明日、ゆか達の関係をあ〜ちゃんにばらす…
『ちゃんとしたら言おう』
いつかののっちの言葉が頭をかすめた
のっち…
溢れ返りそうな気持ちを溢れさすために
ゆっくりと、後ろを向いた
(N)
簡単にどうにでもできちゃう距離でこっちを向いたゆかちゃん
少し俯いて…やっぱ不安なのかな?
「大丈夫!のっちが全部話すから。ゆかちゃんはなんも言わなくていいよ?」
頭を撫でると腕が首に回された
「…のっち」
「大丈夫だからね」
「うん…」
ぎゅう…っとされて、温かさがしみこんでくる
もっと体温を感じたくて、その細い背中に腕を回した
近くにある髪にキスをすると少し顔をあげたから
そのすきに唇にもキスをした
わざとゆっくり横に体重をかけて、ゆかちゃんが上にいるままカーペットの上に寝そべる
顔をあげたゆかちゃんにそっと、またキスをして
そのまま体を反転させて上下を入れ替えた
久しぶりによく見た顔は捨てられた子猫みたいな、なんとも言えない表情で
そんなめったに見れないゆかちゃんが、とてつもなくかわいくて仕方なくなった
「ふふっ何その顔。不安なん?」
少し赤みのかかった頬を指の背でさすってやる
「…のっちぃ」
「ん?」
「ありがとう」
「ん?何が?」
「全部」
頭を引き寄せられたからそっと目をつむって
緩く柔らかいキスを何度もかわす
唇と唇だけが触れ合う優しいキス
お互いの気持ちが唇から伝わるみたいですごく心地いい
髪をといてくれる指先からもゆかちゃんが伝わって
この時間がずっと続けばいいのになって、思う
でも何の予告もなしに顔をあげた
突然キスをやめて視線を落とすと
気付かなくて目を閉じたままのゆかちゃんを見ることができて
…それが好きだったりする
数秒してから、ゆっくりと開かれる目
目が合うと照れたみたいに笑うゆかちゃん
…それを見るのも好きだったりする
「もぉ…また見てた」
「かわいいからつい」
そう言うとまた照れるから、
それがまた可愛いから何度も同じことしちゃうあたしをアホって言って抱きしめてくれるとこも全部
大好きだったりする
「ねぇ腕枕して?」
その要望に応えるために、かぶさっていた体を横にずらした
腕を差し出すと嬉しそうに頭を置いて静かに目を閉じるゆかちゃん
「はい。…もう寝る?ベッド行く?」
「んーん…寝ない。でもちょっとだけこのまま…」
ぎゅっとしがみつくみたいに体を寄せてくる
「ゆかちゃん腕枕好きだよね」
何の気無しに言った言葉なのに、
あたしの服を掴む手に力が入った気がしたから、その手に手を重ねた
「…だってくっつけるから…」
「ふふっ…甘えんぼさんじゃ〜」
「…甘えちゃダメ?」
……もぉ…かわいいなぁ
「ダメなわけない」
思わず左腕を回してぎゅっと、きつく抱きしめる
「ん、苦しい…」
「あ…ごめん」
力を抜いて少し下にある顔を見ると
完璧な上目使いがそこにあって…
「ううん」
くしゃっと笑うからこっちもつられて笑ってしまう
そのままおでこをくっつけて目をとじた
「ゆかちゃん…今日、のっちの番だから」
「……アホ」
恥ずかしそうに背中を叩くその行為も全てがもう、
なんかもう…可愛い
「ベッド…行こっか」
「…」
「やっぱやだ?」
「…やじゃ、ない」
か細い声でそう呟いたゆかちゃんは、さらにぐっとのっちの服を掴んだ
可愛い声でそんなこと言って…どうなっても知らんよ?
「……やじゃないんだ」
今どんな顔してるのか知りたくて、密着してる体を離そうとすればするほど、
ぎゅってしがみついて離れてくれない
「照れとる?」
ほんのりと赤くなった耳をなでると、ふるふると小さく頭を揺らして…
あぁ、もう本当に
「好き…」
また苦しいって怒る?
でも今はね、きつく抱きしめたいんです
「……ゆかの方が…すき…」
消えそうな声で、
でも確かな声でそんなこと言って顔をあげたゆかちゃんの赤い頬をなでて
赤い耳に唇を寄せた
「……」
けど、言葉が出てこない
かわいいよほんとに…
思わずはぁ…っと出たため息にゆかちゃんは小さく首をすくめた
「ふふっ…くすぐったいよ」
また上にかぶさって熱くなってる耳たぶをそっと口に含むと
ぶるっと、華奢な肩が震えた
目を合わせるともう潤んでて、唇を重ねると…溶けそうになる
舌を伸ばすと簡単に受け入れてくれるゆかちゃんに
夢中になって絡ませてしまう
漏れる吐息も全部あたしのものだ
「ん…ふぁ、」
ああもう止まらんわ
頭がゆかちゃんでいっぱいになり始めたけど、
まだここが固いカーペットの上だというのを思い出した
「はぁ…ここじゃ辛いでしょ?ベッド行こ…」
「…うん」
体を起こしてすぐそこのベッドに急ぐ
少しの中断も歯痒くて仕方ない
沈みこむ体に安心を覚えたあたしはそっと、シャツの中に手を進めた
明日全部話そうね
あ〜ちゃんならきっと…ううん、絶対分かってくれる
のっちの気持ちも、ゆかちゃんの想いも全部
あ〜ちゃんなら受け止めてくれる
絶対、大丈夫
最終更新:2009年05月25日 21:39